日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表②

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:10 会場11 (Zoom)

座長:春日 晃章(岐阜大学)

14:20 〜 14:40

[学校保健体育-C-08] 「リズムダンス」「現代的なリズムのダンス」の学習内容に関する検討

*田巻 以津香1、山崎 朱音2、栫 ちか子3 (1. 東海大学、2. 横浜国立大学、3. 鹿屋体育大学)

 「リズムダンス」「現代的なリズムのダンス」は学習指導要領への導入から約20年が経過し、児童生徒からの関心度や授業での採択率も高く、研究報告数も年々増加傾向にある。一方で、学習内容、教授方略、学習方法等様々な面において課題が指摘され、未だ議論がなされているという状況もある。特に動画等で既成作品をコピーさせる授業やステップや振付を一斉指導で教える技能習得型の学習方法について、学習指導要領の提示内容との乖離が指摘されるも、改善は進んでいない。多くの報告から、その要因に教師の経験や教材研究の不足があげられているが、同時に、学習内容が曖昧であることも大きな要因と言えよう。導入に際しては、社会でのダンスブームが反映されたと言われており、その背景には各時代で流行している音楽に合わせたダンスやストリートダンスがイメージされている。しかし、流行の音楽もストリートダンスも多岐に亘ると共に常に変化しており、「リズムダンス」「現代的なリズムのダンス」がどのようなダンスなのか、その種目特性も曖昧なのである。
 そこで、本研究では、その種目特性を明らかにし学習内容を明確にすることを目的に、複数ジャンルのストリートダンサーに対するインタビュー調査を実施した。ダンス歴10年以上かつ全国大会決勝出場経験のあるダンサーを対象に、「面白さ」「没入する瞬間」について半構造化インタビューを行い、分析した。結果、「音楽と同調すること」や「浮遊感が得られること」、「外部刺激である音楽や周囲に反応すること」等が面白さとしてあげられ、「没入する瞬間」には「無になれた時」「自己が解放された時」等があげられた。
 以上の結果から、「リズムダンス」「現代的なリズムのダンス」の種目特性は、音楽への反応や仲間との交流を楽しみながら自由に表現する運動であり、それらを実現するために滑らかでしなやかに動く身体の獲得が求められることが示唆された。