日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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生涯スポーツ研究部会 » 【課題C】人生100年時代に向けていかに人々のスポーツ権を保障するか

生涯スポーツ研究部会【課題C】口頭発表①

2021年9月8日(水) 14:00 〜 15:15 会場21 (Zoom)

座長:香村 恵介(名城大学)

15:00 〜 15:15

[生涯スポーツ-C-04] 誰もが気楽にスポーツのできる場としての学校開放事業の可能性と課題の検討

*萩 裕美子1、西 葉月1、吉原 さちえ1、知念 嘉史1、伊藤 栄治1 (1. 東海大学)

【背景】我が国において、スポーツ基本計画(2期)では国民の65%以上のスポーツ実施が目指されているが、実施する人としない人の2極化が問題視されている。また、スポーツ施設の6割は学校施設であることが報告されており、2019年にはスポーツ庁が「学校施設有効活用のためのガイドライン」を作成した。

【目的・方法】2014年からH市において、学校開放事業として協働事業を行ってきた。その目的は誰でも気軽にスポーツを実施できる環境を整えるべく、予約は不要で学校体育施設を利用できる個人利用を実現させた。しかしながら、このモデルを市内の多くの学校に広げるには多くの課題がある。そこで市内の学校開放利用団体に対して質問紙調査を行い(2021年2月)、現状の把握(会員数、活動内容、活動頻度、参加者人数等)と学校開放事業の運営に関する課題、今後の学校開放事業の在り方や個人利用に対する意見を聴取した。調査対象団体は344件で有効回答数は197件(有効回答率57.3%)であった。

【主な結果】運営上の課題としてはコロナ関連の課題も挙げられていたが、利用方法について手続きの不便さや不公平感、利用時間の設定の問題、施設、備品管理の方法や費用について、また行政や団体間での連絡調整等の課題が挙げられていた。個人利用に関しては利用したいと答えたものが59%、どちらともいえないが35%であった。すでに団体登録を済ませた団体関係者ではあったが、個人利用を希望するものが多かった。またどちらともいえないと答えたものの理由としては、個人種目か団体種目かで異なることや、運営方法が不明、管理が難しいのではないか。などの意見があった。

【結論】これらの意見を行政、団体、市民、学校関係者からの視点で整理・分析することで、誰もが気楽にスポーツのできる場としての学校開放事業の可能性を見出せると思われた。