日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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健康福祉研究部会 » 【課題B】認知機能の維持・改善に運動・スポーツはいかに貢献するか

健康福祉研究部会【課題B】口頭発表②

2021年9月8日(水) 09:00 〜 10:10 会場24 (Zoom)

座長:木伏 紅緒(早稲田大学)

09:55 〜 10:10

[健康福祉-B-09] 不定形な障害物を跨ぐ際の足部軌跡

*三浦 有花1、進矢 正宏1 (1. 広島大学大学院人間社会科学研究科)

障害物跨ぎ越し時の転倒リスクは、障害物とつま先の距離であるクリアランスによって評価される。日常生活における障害物は、様々な形状のものがあり得るが、障害物跨ぎ歩行を対象とした殆どの先行研究では、一葉な高さを持つ単純な形状の障害物を用いて評価が行われてきた。そこで本研究では、階段状(研究1)や台形(研究2)といった、不定形な障害物を跨ぐ際の足部軌跡の評価を行った。
研究1:健常な若年成人16名を対象に、歩行中に右足、左足の直下の障害物の高さが9.0 cmの長方形の障害物と右足直下の高さが22.5 cm、左足直下の高さが9.0 cmの階段状の障害物を跨ぐ課題を実施した。その結果、後続脚先行脚共に階段状の障害物を跨ぐ際のクリアランスは、長方形の障害物のクリアランスと比較して有意に大きくなり、反対脚が跨ぐ障害物の高さの影響を受けることが示された。
研究2:健常な若年成人16名を対象に、歩行中に前額面から見て台形の障害物と長方形の障害物の2つの形状の障害物を跨ぐ課題を実施した。その結果、台形の障害物を跨ぐ際は、長方形の障害物と比較して、反対脚が跨ぐ障害物の高さが低い場合、先行脚、後続脚共に有意に足部を挙上させた。一方反対脚が跨ぐ障害物の高さが高い場合、同側脚の挙上高に有意差は認められなかった。また、台形の障害物を跨ぐ際は、障害物の高さが低い方向へ足部を移動させてクリアランスを確保していることが示された。
障害物回避歩行における下肢の足部軌跡は、足部直下の障害物の高さのみによって決まるのではなく、反対脚や障害物全体の形状を考慮に入れて制御されている可能性が示された。