日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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健康福祉研究部会 » 【課題C】運動不足(不活動)に伴う⼼⾝機能の低下をいかに予防するか

健康福祉研究部会【課題C】口頭発表②

2021年9月8日(水) 13:45 〜 15:00 会場24 (Zoom)

座長:田中 愛(明星大学)

14:00 〜 14:15

[健康福祉-C-07] 幼児期における筋機能と意欲および忍耐力の関連

*門谷 颯星1、大坪 健太2,3、春日 晃章4 (1. 岐阜大学大学院、2. 兵庫教育大学大学院、3. 日本学術振興会特別研究員(DC2)、4. 岐阜大学)

本研究は、幼児の筋機能と非認知機能特性である意欲と忍耐力に焦点を当て、それぞれの関連を検討することを目的とした。対象者は、G県私立幼稚園に在籍している年長児218名(男児107名、女児111名)であった。筋機能の測定には、立ち幅跳び、体支持持続時間、握力及び足趾把持力の4項目を用いた。この4項目に主成分分析を適用し第一主成分得点を算出し、それぞれ年齢別(0.5歳区分)、性別でTスコア化したものを筋機能得点とした。また、筋機能得点を用いて、対象者を上位群(筋機能得点≧60)、中位群(60>筋機能得点≧40)、下位群(筋機能得点<40)の3群に群分けした。意欲と忍耐力は、担任の保育者を対象に、5項目の設問からなるアンケート調査(5段階評価)を行った。質問項目は、意欲①(どんなことにも意欲的である)、意欲②(何事にもやる気がある)、忍耐力①(忍耐強い)、忍耐力②(根気がある)及び忍耐力③(粘り強く物事に取り組める)であった。筋機能得点と意欲及び忍耐力の関連についてピアソンの積率相関係数を算出した。各項目が筋機能に及ぼす影響を検討するために3群間において一要因分散分析を行った。また、その結果から、有意な主効果が認められた場合、多重比較検定(Bonferroni法)を行った。分析の結果、筋機能と意欲及び忍耐力の全項目との間に有意な正の相関(r=0.20~0.26)が認められた。一要因分散分析では、全項目で有意な主効果が認められ、多重比較検定の結果、意欲①及び意欲②では、上位群、中位群が下位群より有意に高い値を示し、忍耐力②、忍耐力③では、上位群が下位群より有意に高い値を示した。さらに、忍耐力①では、上位群が中位群、下位群より有意に高い値を示した。以上より、日常的に遊びこむことによって筋機能を高めている幼児は、何事にも意欲的に取り組む力や忍耐力、粘り強さも育まれることが示唆された。