日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】テーマ別シンポジウム/科学的エビデンスからみた保健体育のカリキュラムと学習指導:学習指導要領の内容と保健体育授業の実状との乖離

2021年9月8日(水) 15:30 〜 17:30 会場3 (Zoom)

コーディネーター:末永 祐介(東京女子体育大学)、柏木 悠(専修大学)

16:50 〜 17:30

[学校保健体育-SC-3] 体育心理学の視野で捉えた基礎的運動能力の構造と保健体育の役割

*木島 章文1 (1. 山梨大学教育学部)

<演者略歴>
博士(体育科学)。研究課題はスポーツ動作における個人間協応の解析(Kijima et al., PLoS One, 2012 etc.)、全身移動を伴う個人間協応パタンの実験的再現(Kijima et al., Frontiers in Psychology, 2017)。2021年度より山梨大学教育学部小学校教員養成特別教育プログラムに授業担当教員として参加。
 小学校と中学校の学習指導要領では、学年を縦糸、運動領域を横糸として授業内容が組み立てられている。そこに明記された小学校低学年の授業は遊びであり、中学年から技能学習を目的とした教科の体裁を帯びる。その後、高学年から中学校1-2年生でスポーツ種目の学習へと至り、中学校3年生において選択した種目の活動を自律的・主体的に運営することを期待される。
 今回の会議ではまず現場の授業の様子を観察・報告し、その実態に応じて全体的な建て付けを再構築する心理学の考え方を提案する。それにあたり、まずは保健体育で育まれうる知性、ならびにその知性を育む教員と児童生徒の関わり方について認知発達の観点を起点として再考する。本来的にヒトには、他者と連携・協調しながら物理的に変動する動作環境を自由に動ける資質が備わっている。ただしその機能を立ち上げ、さらに発展させるには、物理的に大きな力を持ち、連携の仕方に高い見識を持つ教員が心理・物理的に関わる必要がある。日常生活において唐突に生じる物理的な環境変化を即座に見抜き、変動の時定数に合わせて自らの動作を調整する。この身体的知性を育む保健体育の方法論を体育心理学の観点から論じたい。