日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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健康福祉研究部会 » 【課題B】認知機能の維持・改善に運動・スポーツはいかに貢献するか

健康福祉研究部会【課題B】テーマ別シンポジウム/認知機能改善のための身体活動の在り方

2021年9月8日(水) 10:45 〜 12:25 会場6 (Zoom)

コーディネーター:樋口 貴広(東京都立大学)、根本 みゆき(筑波大学附属病院)

11:18 〜 11:51

[健康福祉-SB-2] 運動と認知

子どもの運動発達の立場から

*森 司朗1 (1. 鹿屋体育大学)

<演者略歴>
東京学芸大学大学院修士課程教育学研究科保健体育専攻修了、鹿屋体育大学体育学部助手、東京学芸大学教育学部講師、同大学教育学部助教授、鹿屋体育大学助教授体育学部、同大学教授を歴任、現在、同大学理事・副学長、博士(医学)。
 乳幼児期から児童期にかけて、子どもたちはそれまでに「できなかった」動きが「できる」ようになっていく重要な時期であり、人間の脳と身体機能のメカニズムが形成され、運動をコントロールする能力が急激に発達していく。
 乳幼児から児童期への運動コントロール能力の発達は、目的性や方向性をもった自己の意志によってできるようになり、移動運動や操作運動などの基礎的運動パターンが獲得され、児童期にかけて修練・向上していくと同時に、環境の変化に応じた柔軟な動作ができるようになっていく。また、この運動コントロールの発達は情報処理システムの観点からとらえると感覚器官の鋭敏さや反応時間のような情報処理を支える構造的性能に相当するハードウエアと入力された情報の処理をするプログラムに相当するソフトウエアの2つから構成されており(工藤、2011)、乳幼児期から児童期にかけてハードウエアの関与が徐々に減少し、ソフトウエアの関与が増えていく。この変化は、学習方略や状況判断能力につながる運動記憶の発達やメタ認知の発達との関連が考えられ、この点を踏まえた最適な運動経験を引き出す環境を子どもたちに提供することが重要である。