2:00 PM - 2:15 PM
[スポーツ文化-C-02] 秩父・多摩西部地域における身体文化としての民俗芸能の保存・伝承・促進の現状と課題、更なる飛躍の可能性に向けて
1.はじめに 秩父地域と多摩西部地域の共通点は、秩父多摩甲斐国立公園に属し、豊かな自然とそこで育まれてきた民俗芸能が豊富に存在する一方、顕著な人口流出にて移住と雇用の促進・民俗芸能の継続という喫緊の課題を抱える事である。今迄この地域の民俗芸能の調査機会を有したが、そこで得た知見から当該地域における民俗芸能の現状課題と将来展望を見出す事を目的とする。
2.対象と方法 2014.12から2020.2にかけ、秩父・多摩西部地域の歌舞伎・式三番・獅子舞・神楽・人形芝居の、上演・リハーサル・稽古・学校教育場面等への参観を年平均50回程行い、映像撮影と保存会・学校・児童生徒・保護者、行政関係者等へのインタビュー等を行った。そこより今回のシンポジウムに沿う部分を抽出し結果と考察を導き出した。
3.結果と考察 秩父地域では教育委員会と連携し、小中学校での総合的な学習の時間を主として、保存会会員と教員の協力による本格的な継承活動が行われ、児童生徒は着実に技を修得していった。問題点として1)指導料が無い若しくは著しく安い2)将来の伝承に結びつく卒後教育場面の不足3)廃校のプレッシャー等があった。多摩西部地域では学校統廃合が進み学校で特定の芸能を扱うことは困難にて、地区の数少ない子どもと、お祭りの時に保護者の里帰りに同行した子ども達に対する継承が行われていた。管轄行政の名称は、文化財保護課・社会教育課・みらい創造課等様々で、必ずしも学芸員有資格者がいる訳ではなく正規雇用者ばかりでも無かった。民俗芸能限定で民間のNPO法人に委託している行政もあったが、その法人には文化財に造詣の深い学芸員がおり、既存の枠に捉われない斬新な発想に基付く活動を展開していた。今回のコロナ禍を、新しい生活様式に相応しく雇用促進にも繋がる創意工夫を行うチャンスと捕らえ行動に移せるか否かが、今後への分岐点になるのではないかと考えられた。
2.対象と方法 2014.12から2020.2にかけ、秩父・多摩西部地域の歌舞伎・式三番・獅子舞・神楽・人形芝居の、上演・リハーサル・稽古・学校教育場面等への参観を年平均50回程行い、映像撮影と保存会・学校・児童生徒・保護者、行政関係者等へのインタビュー等を行った。そこより今回のシンポジウムに沿う部分を抽出し結果と考察を導き出した。
3.結果と考察 秩父地域では教育委員会と連携し、小中学校での総合的な学習の時間を主として、保存会会員と教員の協力による本格的な継承活動が行われ、児童生徒は着実に技を修得していった。問題点として1)指導料が無い若しくは著しく安い2)将来の伝承に結びつく卒後教育場面の不足3)廃校のプレッシャー等があった。多摩西部地域では学校統廃合が進み学校で特定の芸能を扱うことは困難にて、地区の数少ない子どもと、お祭りの時に保護者の里帰りに同行した子ども達に対する継承が行われていた。管轄行政の名称は、文化財保護課・社会教育課・みらい創造課等様々で、必ずしも学芸員有資格者がいる訳ではなく正規雇用者ばかりでも無かった。民俗芸能限定で民間のNPO法人に委託している行政もあったが、その法人には文化財に造詣の深い学芸員がおり、既存の枠に捉われない斬新な発想に基付く活動を展開していた。今回のコロナ禍を、新しい生活様式に相応しく雇用促進にも繋がる創意工夫を行うチャンスと捕らえ行動に移せるか否かが、今後への分岐点になるのではないかと考えられた。