11:15 AM - 11:30 AM
[11 教-口-10] 「表現系ダンス」における双方向的で創造的な学びを実現する指導(4)
多様な質感の動きを有する題材・テーマ「新聞紙を使った表現」の実践から「これだけは指導したい内容」について再考する
本研究は、舞踊教育学専門家3名、小学校、中学校現場の熟練指導者2名の5名で構成する専門家チームで協議を重ねながら、表現系ダンスにおける「これだけは指導したい内容」の一般化へ向けて、「指導案の作成-熟練指導者(4名)による実践-指導案の再検討-未熟練指導者(6名)による実践」の過程を経て実証的研究を進めてきた。
多様な質感の動きを有する題材・テーマとして取り上げた「新聞紙を使った表現」では、「全身をギリギリ(極限)まで使う」「メリハリ(緩急強弱)をはっきりさせる」「移動も入れて動きを連続させる」の3つを「これだけは指導したい内容」として設定した。指導案には指導者が新聞紙を動かして、学習者から様々な質感を伴った動きを引き出す場面で提示する一連の流れを4つ提示し、そこに示した動きと「これだけは指導したい内容」の関連も示した。
その結果、指導者が床に落ちた新聞紙を「床から浮いている」と指摘したものの、床から体を浮かせながら「全身をギリギリまで使う」ことと結びつけた指導に至っていなかった。また、指導者が新聞紙を操りながら「移動を入れて動きを連続」させたものの、学習者はただ走り回るだけになりがちで、移動しながら形が不規則に変わる新聞紙の動きにこだわる指導を行えていなかった。
このことから、指導者が操る新聞紙の動きを、学習者が体の動きでどのように誇張し極限化していくのか、そこをダイレクトにつなぐ指導への意識が不十分であったと考えられる。「2人の戦い」が対立・対応した動きの中でひと流れの動きを作りやすい面がある一方、「新聞紙を使った表現」は、新聞紙を操る側が「ひと流れの動き」を創り出す難しさと、それを体の動きで誇張、極限化していくなる側の難しさが同時に存在する特徴があることが改めて浮き彫りにされた。「これだけは指導したい内容」について再考し、動きの重点が伝わりやすい示し方を新たに提案する。
多様な質感の動きを有する題材・テーマとして取り上げた「新聞紙を使った表現」では、「全身をギリギリ(極限)まで使う」「メリハリ(緩急強弱)をはっきりさせる」「移動も入れて動きを連続させる」の3つを「これだけは指導したい内容」として設定した。指導案には指導者が新聞紙を動かして、学習者から様々な質感を伴った動きを引き出す場面で提示する一連の流れを4つ提示し、そこに示した動きと「これだけは指導したい内容」の関連も示した。
その結果、指導者が床に落ちた新聞紙を「床から浮いている」と指摘したものの、床から体を浮かせながら「全身をギリギリまで使う」ことと結びつけた指導に至っていなかった。また、指導者が新聞紙を操りながら「移動を入れて動きを連続」させたものの、学習者はただ走り回るだけになりがちで、移動しながら形が不規則に変わる新聞紙の動きにこだわる指導を行えていなかった。
このことから、指導者が操る新聞紙の動きを、学習者が体の動きでどのように誇張し極限化していくのか、そこをダイレクトにつなぐ指導への意識が不十分であったと考えられる。「2人の戦い」が対立・対応した動きの中でひと流れの動きを作りやすい面がある一方、「新聞紙を使った表現」は、新聞紙を操る側が「ひと流れの動き」を創り出す難しさと、それを体の動きで誇張、極限化していくなる側の難しさが同時に存在する特徴があることが改めて浮き彫りにされた。「これだけは指導したい内容」について再考し、動きの重点が伝わりやすい示し方を新たに提案する。