日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学/口頭発表①

2021年9月9日(木) 13:00 〜 14:00 会場5 (Zoom)

座長:星野 聡子(奈良女子大学)

13:40 〜 14:00

[03 心-口-03] 音楽がコンテンポラリーダンス作品の印象に与える影響

*勝 涼葉1、水村(久埜) 真由美2 (1. お茶の水女子大学 大学院、2. お茶の水女子大学 基幹研究院)

多くの舞踊作品は音楽を伴い、音楽が舞踊作品を鑑賞した際の印象に与える影響は大きいと推察される。そこで本研究は、音楽が鑑賞者の印象評価に及ぼす影響を、鑑賞者の舞踊経験やダンサーの技術の違いから検証することを目的とした。プロダンサー1名、学生4名(以降中級者2名、上級者2名)が踊る動画を64名(舞踊経験者30名、未経験34名)の被検者が鑑賞し、29問の質問に答える印象評価実験を実施した。この質問内容は、好き嫌いなどといった主観評価尺度(Torrents et al., 2013)、猪崎ら(猪崎、2006)が作成した舞踊運動評価尺度、振付家へのインタビューから筆者が作成した作品評価尺度の3つで構成された。対象の振付動作は2分34秒であり、撮影した動画は音有/音無に編集された。全ての尺度の評価値に二要因の分散分析を行い、主効果がみられた場合Bonfferoniの多重比較検定を実施した。有意水準は5%とした。音の有無と鑑賞者の舞踊経験を要因とした二元配置分散分析の結果、15項目で有意差が認められた。鑑賞者は音有条件で「面白い」、「速い」、「リズミカルな」、作品に関する印象語である「儀式」などを強く感じ、特に舞踊経験者は多くの項目で有意差がみられた。音の有無と演じたダンサーを要因とした二元配置分散分析の結果、中級者とプロダンサー間に13項目で有意差が認められた。鑑賞者はプロダンサーの音有動作に対し、「面白い」、「動的」、「速い」などを強く感じた。作品に関する印象においては、鑑賞者は音有条件時により多くの項目で、その印象を強く感じたという結果が得られたことから、音によって振付家が意図する作品の印象が強化される可能性が示された。