日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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生涯スポーツ研究部会 » 【課題A】 共生社会の実現に向けた生涯スポーツ政策と協働システムをいかに構築するか

生涯スポーツ研究部会【課題A】口頭発表②

2022年8月31日(水) 11:00 〜 11:47 第7会場 (2号館1階12教室)

座長:綿引 清勝(いわき短期大学)

11:16 〜 11:31

[生涯スポーツ-A-06] 障害者の地域参加と共生的スポーツコミュニティへの参加との関係(ア)

*飯田 望見1、齊藤 まゆみ2 (1. 筑波大学大学院、2. 筑波大学)

障害者基本法では2011年の一部改正から、「地域社会における共生」が登場する。しかし、障害者が参加するコミュニティは閉鎖的なものに止まるなど、障害者を包摂した共生社会の実現には未だ遠い。ところで、障害者を包摂したコミュニティ形成において、ソーシャルキャピタルの概念の利用可能性が示されている(Chenoweth & Stehlik, 2004)。また、ソーシャルキャピタルの蓄積は抑うつやQOL(生活満足度)などの心理社会的健康にも関係するとされ、障害者自身の心理社会的健康にも寄与できることが推察できる。そうしたソーシャルキャピタルの醸成手段として度々スポーツコミュニティが取り上げられるが、障害者はそこに現れない。ましてや共生的スポーツコミュニティへの参加実態や、それにより障害者の心身にもたらされる影響は明らかになっていない。そこで本研究では、障害者の共生的スポーツコミュニティへの参加状況と、個々の地域参加との関連の傾向を明らかにすることを目的とした。調査対象はスポーツコミュニティ参加者とした。障害者と健常者がともにスポーツ活動を行うコミュニティと障害者のみのスポーツコミュニティ、健常者のみのスポーツコミュニティの3群に分けて検討した。調査方法は質問紙調査とし、調査項目は地域参加の様子としてソーシャルキャピタルに基づく項目、並びに心理社会的健康に関する項目として生活満足度と主観的幸福感に関する項目とした。加えて質問紙調査を補うものとして、コミュニティの構成員に関する質問を含めた面接をコミュニティ代表者に対して行った。その結果、共生的スポーツコミュニティに参加することは、地域に参加した生活の充足と相互に関連することが示唆されたことから、多様で共生的なスポーツコミュニティへの参加が、障害者の地域参加に貢献し得る可能性について報告する。