日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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スポーツ文化研究部会 » 【課題B】人々の生活に根ざした多様なスポーツ文化をいかに醸成していくか

スポーツ文化研究部会【課題B】口頭発表②

2022年9月1日(木) 09:00 〜 09:47 第10会場 (2号館4階45教室)

座長:加藤 えみか(京都産業大学)

09:16 〜 09:31

[スポーツ文化-B-05] スポーツ・インテグリティ・インデックス大学版開発に向けた下位尺度の検討(経)

*庄司 直人1 (1. 朝日大学)

近年、スポーツ・インテグリティの保護・強化がスポーツにおける重要課題となっている。実際にスポーツ現場における暴力、虚偽の情報発信に関する報道も散見されている。こうした社会課題に取り組み、解決に向けた具体的対策を展開するためには、スポーツ・インテグリティを評価する指標が必要である。現状では、スポーツ競技団体のガバナンス・コードが公表されるなど進展する過程であるものの、アスリートを暴力やハラスメントなどの脅威から保護するためには、アスリートが身を置く最前線のチームやクラブのインテグリティを客観的に評価する指標が必要であろう。また、スポーツにおいてインテグリティに関する議論は、単に不正と距離を置き負の事柄を抑え込むものとして議論されることが多く、規則、コード、原則、教育、監視、制裁などによる方法論が用いられてきた。しかし、スポーツの価値と原則が個人の発達を促し、パフォーマンスの卓越性を強化することも説かれており(Ibrahim, 2016)、人のポジティブな側面にも着目した競技パフォーマンスの向上と相互に補完し合うものとしてインテグリティをとらえた指標が必要であるとも考えられる。そこで、本研究では競技スポーツの一翼を担う大学スポーツを対象としたスポーツスポーツ・インテグリティ・インデックス大学版の作成を見据えた下位尺度の検討をおこなった。研究方法は、文献調査および関連領域専門家を対象としたヒアリングであった。その結果、下位尺度の候補として、正義、公正、尊厳、優しさ、卓越性、倫理、モラル、社会性、スポーツマンシップ、平等、責任、行動規範、一貫性、道徳性、説明責任、キャリアの見通し、社会資本が挙げられた。本研究で示された概念以外にも適切な概念があると考えられ、視点を変えた研究が必要である。