日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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健康福祉研究部会 » 【課題C】 運動不足(不活動)に伴う心身機能の低下をいかに予防するか

健康福祉研究部会【課題C】テーマ別シンポジウム/オンライン化で得られる健康、失う健康

2022年9月1日(木) 17:00 〜 18:50 第1会場 (3号館3階301教室)

コーディネーター:大槻 毅(流通経済大学)

[健康福祉-SC-1] 身体活動に対するCovid-19の影響とオンライン運動教室の実現可能性

*甲斐 裕子1 (1. 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所)

<演者略歴>
筑波大学大学院体育研究科を修了後、九州大学大学院人間環境学府を修了し、博士(人間環境学)を取得。2004年より体力医学研究所に勤務(2020年より現職)。専門は運動疫学。自治体や企業と協力して、身体活動促進や座りすぎ是正のポピュレーションアプローチについて研究。日本運動疫学会理事、日本健康支援学会理事。
コロナ禍に伴う、外出自粛・運動の場の閉鎖・テレワークの急拡大等により、人々の身体活動量が減少した。特に、高齢者では、社会的交流の低下とともに、フレイルや認知症のリスクが上がったと報告されている。一方で、2021年はスポーツ実施率が過去最高を記録するなど予想外の報告も出てきている。海外では、経済的に豊かな地域に住む住民は、日常生活で減少した身体活動を余暇の活動で補っているが、貧しい地域の住民はそうでないことなどが報告されている。我が国でも、緊急事態宣言後の高齢者の身体活動の回復度合いは、社会的つながりによって違いがあることが明らかになっている。すなわち、コロナ禍に関連した身体活動量の変化には、社会経済状況が関与している可能性があり、健康格差を拡大させてしまう懸念がある。このような状況を打破するために、各地でオンラインを活用した運動の機会の提供が試みられているが、その検証は緒に就いたばかりといえる。本シンポジウムでは、最初にコロナ禍に伴う身体活動・運動・スポーツの変化について整理し、その後、我々が行っているオンライン運動教室の実践研究について紹介する。