日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】 ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表①

2022年9月1日(木) 14:00 〜 15:03 第3会場 (3号館4階402教室)

座長:中村 泰介(大阪大谷大学)

14:00 〜 14:15

[競技スポーツ-C-01] サッカーのゲームパフォーマンスデータにおける二値測定の妥当性(測)

量的データと質的データの因子構造および因果構造の比較

*徐 広孝1、松岡 弘樹2、安藤 梢2、西嶋 尚彦2 (1. 静岡産業大学、2. 筑波大学)

スポーツアナリティクスの普及と発展によって、トップレベルのサッカーにおいては、試合中に測定されるゲームパフォーマンスデータを用いた分析が日常的に行われるようになった。ところが、近年は高機能な測定機器やシステムが導入され、測定されるゲームパフォーマンスデータの量が膨大化している。それゆえ、指導現場のアナリストにとって、ゲームパフォーマンスデータを処理することは容易ではない。また、客観的なデータを分析したとしても、選手の技能評価は未だに指導者の主観に依存する傾向があり、サッカー技能の達成度評価法を開発する必要がある。
 ゲームパフォーマンスデータは、パスの回数や位置座標などの量的尺度で測定されることが多い。そのため、達成度評価基準を構築可能な項目反応理論を適用することができない。しかし、量的なゲームパフォーマンスデータを二値に変換することができれば、項目反応理論を適用できるようになるとともに、測定コストの削減が期待される。
 そこで本研究は、サッカーの攻撃における二値のゲームパフォーマンスデータの妥当性を検証することを目的とした。対象は2011年のJリーグにおける全686試合の攻撃パフォーマンスデータ(147,302プレー)であった。まず、分類二進木分析を適用して、項目ごとに量的データを二値に変換するための達成基準を分析した。次に、達成基準に従って二値のデータセットを構築し、探索的因子分析を適用して因子構造を明らかにした。その結果、攻撃技能の7つの下位因子が抽出され、量的データよりも二値データの方が妥当な因子構造が確認された。さらに、最尤法で推定した因子スコアの分散共分散行列からパス解析を行った結果、サッカーの攻撃スタイルを反映した妥当な因果構造が二値データで確認された。
 以上のことから、サッカーにおける二値のゲームパフォーマンスデータは妥当であることが明らかになった。