日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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測定評価/口頭発表③

2022年9月2日(金) 15:20 〜 15:58 第8会場 (2号館2階21教室)

座長:大藏 倫博(筑波大学)

15:33 〜 15:45

[08測-口-08] 幼児期における身体組成と体力の関係について

*淺川 正堂1,2、大坪 健太4、春日 晃章3 (1. 修文大学短期大学部、2. 岐阜大学大学院、3. 岐阜大学、4. 兵庫教育大学大学院)

本研究は幼児期における身体組成と体力の関係について明らかにすることを目的とした。対象は満5歳以上の幼児213名(男児114名、女児99名)であった。調査項目は、体力テスト7項目および除脂肪量であり、体力は項目ごとに性別月齢別(0.5歳)にTスコア化した。また体力7項目の結果を基に主成分分析から得られた第一主成分得点を性別月齢別(0.5歳)にTスコア化し、体力総合得点を算出した。除脂肪量の測定には体組成成分分析装置(In Body 270)を使用し、質量および発育の遅速の影響を省くために身長(m2)で除した、除脂肪量指数(FFMI:Free Fat Mass Index)を算出した。分析に際して、性別月齢別(0.5歳)にTスコア化したFFMIを用いて、FFMI高位群(60以上)および中位群(40以上60未満) 、低位群(40未満)の三群に分けた。FFMIの違いによる体力差を検討するために、体力総合得点を含む体力8項目それぞれについて男女別に一要因分散分析および多重比較検定を行った。分析の結果、男女ともに有意な主効果が認められたのは体力総合得点、握力および25m走の3項目であった。立ち幅跳び、長座体前屈および反復横跳びの3項目においては男児においてのみ有意な主効果が認められた。いずれの体力項目においても、FFMI高位群がFFMI低位群と比べて高い値を示したことから、除脂肪量が多い幼児は除脂肪量が少ない幼児と比較して体力水準が顕著に高いことが示唆された。この関係性の背後には、運動遊びをはじめとした身体活動が身体組成および体力に対して影響していることが考えられ、日常的により遊びこんでいる幼児ほど筋肉量が多い身体組成の特性を有していることが示唆された。加えて、男児においては、ソフトボール投げおよび体支持持続時間を除く6項目において有意差が認められたことから、より活発な遊びを好むとされる男児において活動量の影響をより強く受けることが推察された。