14:40 〜 15:10
[00哲-口-01] 競技スポーツにおける「定言命法」の現れに関する一考察
競技スポーツの構造的暴力性と行為主体の意思の関係に着目して
本発表は、競技スポーツにおける倫理に関する一つの応答である。そもそも、競技スポーツは単なるスポーツ活動とは異なり、闘争性が強調される営みといえる。それゆえ、通俗的な道徳観と往々にして対立が生じる。この対立は、競技者にとって克服しがたいものである一方、まったく無視できるものでないこともまた事実である。この事実こそ、冒頭に述べた本発表の目的とした応答という試みに接続する。
そこで、本発表では、このスポーツ固有の倫理と日常道徳の相剋の一助となるべく、二つの手続きを踏む。第一の手続きは、スポーツの固有性に関して考察することである。そして、第二の手続きは、スポーツ固有の倫理と日常道徳の関係について検討していく。 前件については、スポーツが競争であることを前提しつつ、その前提が構造的暴力性をもつことについて検討し、後件については、競技スポーツに参加する競技者の行為の動機に注目しながら議論を進める。その具体的手引きとして、行為主体の意思に注目したカント倫理学を援用する。とりわけ、カント倫理学の中核をなす定言命法に着目しつつ、形式である意志 Willeと不完全な人間の意思 Willkürの関係に留意しながら議論を進めていく。
そこで、本発表では、このスポーツ固有の倫理と日常道徳の相剋の一助となるべく、二つの手続きを踏む。第一の手続きは、スポーツの固有性に関して考察することである。そして、第二の手続きは、スポーツ固有の倫理と日常道徳の関係について検討していく。 前件については、スポーツが競争であることを前提しつつ、その前提が構造的暴力性をもつことについて検討し、後件については、競技スポーツに参加する競技者の行為の動機に注目しながら議論を進める。その具体的手引きとして、行為主体の意思に注目したカント倫理学を援用する。とりわけ、カント倫理学の中核をなす定言命法に着目しつつ、形式である意志 Willeと不完全な人間の意思 Willkürの関係に留意しながら議論を進めていく。