[07発-ポ-09] 幼児におけるサッカーキッズプログラムの活動量と基本的動作
子どもの運動量や運動能力、社会性などの低下に関する問題を解決するために、日本サッカー協会(JFA)は2003年からサッカーキッズプログラム(SKP)を展開している。SKPのプログラム内容は4つの系(体つくり系、鬼ごっこ系、ボールフィーリング系、ゲーム系)に分類されている。JFAはSKPを通じて様々な動作が行えるように1回の活動で4つの系をそれぞれ取り入れることを推奨している。しかしながら、SKPの実施によって実際にどのような動作が現れるのか、客観的に検証した報告はない。篠原ほか(2020)は、幼児の活動を検討するうえで、身体活動量からみた基本的な動きの特徴についてその知見を蓄積していくことの重要性を指摘している。以上より本研究の目的は、SKP活動中に発現する基本的動作と活動量の関係を明らかにすることである。対象者は年長児12名(男児6名、女児6名)とした。対象者にActive Style Pro(OMURON)を装着し、60分間で行われたSKP中の10秒ごとの活動量及び歩数を計測した。得られた活動量は幼児用METs換算式で変換し、3METs以上を中高強度身体活動(MVPA)とし、その出現時間を算出した。また、SKPの活動をデジタルビデオカメラで撮影し、36種類の基本的動作(中村ほか、2011)の発現回数をカウントした。また、基本的動作の発現とMVPA時間との関係を検討した。その結果、SKP中のMVPAの平均は20.25±3.30分、歩数の平均は3736.83±378.57歩であった。SKP中の基本的動作の発現種類は、姿勢維持系では8項目中6項目、移動系では8項目中4項目、操作系では18項目中13項目であった。また、MVPA時間と基本的動作の走る、跳ねる、跳ぶとの間に有意な相関関係を認めた。本研究より、幼児を対象としたサッカーキッズプログラムでは、移動系、姿勢維持系、操作系、すべての系で基本的動作が出現し、走る、跳ねる、跳ぶ動作がMVPA時間と関連することが明らかとなった。また、基本的動作の多様性と中高強度以上の運動強度の両面を保障する活動としてSKPが有用であることが示唆された。