日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育方法(奇数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 10:00 〜 11:00 第一体育館バスケ2 (第一体育館バスケ)

[09方-ポ-23] プレセット局面中の視覚的な介入によるドロップジャンプパフォーマンスの縦断的な変化

*吉田 拓矢1、図子 あまね2 (1. 筑波大学体育系、2. ハイパフォーマンススポーツセンター)

下肢の爆発的なパワー発揮能力を高めるトレーニング手段としてドロップジャンプがある。これまでに、ドロップジャンプにおける踏切前の台上に位置する局面(プレセット局面)の脳内状態がパフォーマンスに影響することが報告されている。また、プレセット局面中に模擬映像の視覚的な介入を行うことで、ドロップジャンプのパフォーマンスや下肢関節力学量が改善することも示されている。一方、視覚的な介入によるこれらの変数の改善には個人差が認められ、対象者の下肢の爆発的なパワー発揮能力が影響することが示唆されている。そこで本研究では、プレセット局面中の視覚的な介入によるドロップジャンプパフォーマンスおよび下肢関節力学量の縦断的に測定し、視覚的な介入によるこれらの変数の変化パターンについて明らかにすることとした。運動部所属の女子大学生16名を対象に、台高0.3mからのドロップジャンプを、スクリーン上に映した模擬映像を視聴してから行う条件(Movie条件)と視聴しないで行う条件(Normal条件)で実施させ、パフォーマンス変数(リバウンドジャンプ指数、跳躍高、接地時間)および下肢関節力学量(トルク、パワー、仕事)を算出した。なお、測定は1ヶ月の間隔で2回実施し、期間(1回目と2回目)と条件による2要因の分散分析を行った。その結果、平均でみると、各条件でのパフォーマンス変数および下肢関節力学量に有意な変化は認められなかった。その一方で、2回目の測定でMovie条件がNormal条件よりもリバウンドジャンプ指数が増大した対象者は、跳躍高と接地時間の両者で改善傾向を示した。また、その際に踏切中の膝関節の屈曲量が小さくなり、足関節の正のパワーも増大していた。したがって、本研究の結果から、プレセット局面中に模擬映像の視覚的な介入を用いることによるパフォーマンスや下肢関節力学量の影響は、対象者の下肢の爆発的なパワー発揮能力によって促進されることが示唆された。