日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(奇数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 10:00 〜 11:00 第一体育館バレーボール1 (第一体育館バレーボール)

[03心-ポ-07] アスリートにおける漸進的弛緩法と自律訓練法の継続的な練習が自己受容に及ぼす影響

*高井 秀明1 (1. 日本体育大学)

Jacobson(1929)によって開発された漸進的弛緩法(Progressive Relaxation:PR)とSchultz(1932)によって創始された自律訓練法(Autogenic Training:AT)は、アスリートに対してメンタルトレーニングの技法として提供されることがある。本研究では、カウンセリングの重要な概念のひとつである自己受容(Rogers,1942)に注目し、漸進的弛緩法と自律訓練法の継続的な練習がアスリートの自己受容に及ぼす影響について検討した。実験参加者は、大学生アスリート32名(男性18名、女性14名、平均年齢20.7±1.54歳)であった。本実験はPR群とAT群の2群により構成された。両実験群の人数は、約3カ月の練習期間の途中で脱落したAT群の1名(男性)を除き、PR群は16名(男性9名、女性7名)、AT群は15名(男性8名、女性7名)であった。自己受容を評価するための心理指標には、沢崎(1993)の自己受容測定尺度を使用した。なお、この尺度は、身体的自己、精神的自己、社会的自己、役割的自己、全体的自己の下位尺度から構成されている。実験デザインは、実験群(PR群、AT群:2)×練習期間前後(2)の2要因混合計画であった。実験群要因が参加者間要因で、練習期間前後要因が参加者内要因であった。その結果、身体的自己の得点は、両実験群ともに練習期間前から練習期間後にかけて有意に高まった。精神的自己の得点は、AT群が練習期間前から練習期間後にかけて有意に高まった。社会的自己と役割的自己、全体的自己の得点は、実験群と練習期間前後の主効果、実験群と練習期間前後の要因間の交互作用がみられなかった。身体的アプローチであるPRと心理的アプローチであるAT(高井、2011)の特徴からみると、PRは身体的な自己受容を高め、ATは精神的な自己受容を高めることが予想された。しかしながら、PRは予想した通りに身体的な自己受容を高めたが、ATは予想と異なって精神的な自己受容だけでなく、身体的な自己受容も高めることが明らかとなり、本研究でATの有用性が示されたといえる。