日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(奇数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 10:00 〜 11:00 第一体育館バレーボール1 (第一体育館バレーボール)

[03心-ポ-33] 認知的方略におけるプロセスフィードバックの予備的検討

*髙橋 由衣1、高井 秀明2 (1. 国立スポーツ科学センター、2. 日本体育大学)

スポーツ界ではポジティブに考えることがパフォーマンス発揮に繫がるといった論理が前提化しており、ネガティブに考えることはパフォーマンス発揮の妨げになることが報告されている(笠原,2014)。しかし、近年、ネガティブに考えることでもパフォーマンスを発揮する防衛的悲観主義の存在が確認されているため(Norem, 2001)、これからの指導者には個々のアスリートの認知的方略に応じた指導・助言が求められるだろう。そこで本研究では、認知的方略におけるプロセスフィードバック(ProFB)がパフォーマンスと心理・生理指標に及ぼす影響について予備的に検討し、認知的方略に応じたアプローチ方法を開発するための問題・課題を抽出することを目的とした。実験参加者は、A大学の大学生アスリート26名であった。実験課題には、速さと正確さがトレード・オフの関係にある点つなぎ課題を用いた。第1課題後、実験参加者には速さと正確さのうちどちらの方略を重視したのかを尋ね、重視した方略に沿ってPosiProFBまたはNegaProFBを与えた。なお、FB後の第2課題のパフォーマンス得点と心拍数、状態不安得点については2要因の分散分析を行った。その結果、RP群はSO群よりも課題中の心拍数が有意に高かった。RPはパフォーマンスを発揮したいが失敗を避けたいといった願望がある(光浪,2010)。よって、課題前に失敗する可能性について考えていた可能性があり、課題中の心拍数が高まったものと考えられる。一方、第2課題のパフォーマンス得点と状態不安得点においては有意な差はみられなかった。この結果は、先行研究よりも実験参加者が少なかったこと(荒木,2012)、認知的方略を分類するための具体的な基準が定まっていないことが関係しているものと考えられる。したがって、今後は実験参加者を増やして再検討することと、認知的方略に特化したパフォーマンス評価尺度の開発を検討したい。