日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(偶数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 11:00 〜 12:00 第一体育館バレーボール1 (第一体育館バレーボール)

[03心-ポ-06] アスリートにおける身体症状への意識が反芻に及ぼす影響

身体感覚増幅を媒介変数とした検討

*堀 彩夏1、高井 秀明1 (1. 日本体育大学)

Trapnell & Campbell(1999)が提唱した反芻は、アスリートを対象とした研究でストレス反応との関連が示されており(Yamakoshi & Tsuchiya, 2016)、反芻の減弱によって心理的適応に至るものと考えられる。また、堀・高井(2021)は、身体症状への意識は反芻に正の影響を与えることを明らかにしている。身体感覚を支障ある物として感じる身体感覚の増幅(Barsky et al., 1988)については、アスリートと心身症患者は同様の傾向を示し(秋葉ほか,2015)、アスリートの反芻を減弱させる介入について検討する上で重要な概念であると想定される。よって本研究では、身体症状への意識が身体感覚増幅を媒介し、反芻に及ぼす影響について検討することを目的とした。本研究では、A大学学友会運動部に所属する375名(男性200名,女性175名,平均年齢19.93歳)を対象に調査を実施した。調査対象者には、Rumination-Reflection Questionnaire日本語版(高野・丹野,2008)の「反芻」、Body Awareness Scale(Fujino, 2012)の「身体症状への意識」、身体感覚増幅度尺度日本語版(中尾ほか,2001)に回答させた。分析は、従属変数を「反芻」、独立変数を「身体症状への意識」、媒介変数を「身体感覚増幅度」とする媒介分析を行った。その結果、「身体症状への意識」は「身体感覚増幅度」と「反芻」に有意な正の影響を及ぼし、「身体感覚増幅度」は「反芻」に有意な正の影響を及ぼした。また、「身体症状への意識」と「反芻」に「身体感覚増幅度」の有意な間接効果が認められた。不快な感情に伴う身体感覚の自覚への意識が高い人は、本来自動化されている感情的・身体的反応の処理過程を意識化しており、より認知的な資源やエネルギーを要する(小田,2012)。したがって、自覚されている身体症状は、支障ある物として意識化され、反芻を増強している可能性がある。以上のことから、アスリートの反芻を減弱させる介入には、身体症状への意識を減少させるだけではなく、身体感覚増幅も減少させる工夫が必要である。