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[競技スポーツ-C-12] 女子中長距離ランナーのランニング中の下肢対称性(バ)
ランニングにおいて下肢対称性と障害の関係が研究されているが、下肢対称性は静止立位において測定、もしくはフォースプレートを用いた1サイクルのランニングにおいて測定され、実際のランニングにおいて連続的に評価したものは見当たらない。そこで本研究では、学生女子中長距離ランナーの走動作の下肢対称性をインソール型足圧センサを用いて評価し、ランニング中の下肢対称性の変化を明らかにすることを目的とした。被験者は、女子中長距離ランナー13名とした。400mトラック2周を走速度12.0、13.3、15.0km/hで左回りに走らせ、ランニング中の足圧を100Hzでインソール型圧力センサ(novel社製、Loadsol)を用いて計測した。1サイクルごとに左右の圧力のピーク値(Lp, Rp)の対称性指数(SIp)をSIp=2(Lp-Rp) /(Lp+Rp)×100で算出した。被験者ごとのSIpの平均値と標準偏差は、12.0、13.3、15.0km/hにおいてそれぞれ2.44、2.03、1.97 %と3.64、3.55、3.81 %であった。SIpは速度による変化は小さかったが、被験者間には大きな差がみられた。被験者の5名が過去に足関節捻挫をしており、そのうち3名の患側足はSIpではピーク値が大きい側であった。患側足の不安定性は接地後の足部プロネーションが不十分で、ピーク値が大きくなると考えられ、障害歴のSIpへの影響が考えられる。さらに、障害歴が最も多い被験者と障害歴のない被験者ではSIpの大きさよりも、SIpの標準偏差に差がみられ、障害歴のない被験者で小さかった。Hamillら(2012)は、走動作のばらつきが大きくても小さくても、障害の危険性が高くなるという仮説を提唱している。これらのことは、SIpの大きさばかりでなく、ばらつきに着目した評価が必要であることを示唆するものである。