日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表④

2023年8月30日(水) 11:25 〜 12:24 RY107 (良心館1階RY107番教室)

座長:徐 広孝(静岡産業大学)

11:40 〜 11:54

[競技スポーツ-C-14] テニスの試合におけるプレッシャー状況下でのショットの配球の変化(方)

国内ランキングポイント対象の1大会における検討

*木俣 健1、神藤 隆志2、北濃 成樹3、白石 洋隆1、鈴木 ひかり1、三橋 大輔4 (1. 筑波大学大学院体育学学位プログラム、2. 大阪教育大学表現活動教育系、3. 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所、4. 筑波大学体育系)

テニスにおいて、プレッシャー状況下やエラー直後のポイントではエラーが増えることが報告されているが、その他のパフォーマンスの変化は明らかでない。そこで本研究では、テニスの試合におけるプレッシャー状況下でのパフォーマンスの変化について、ショットの配球の変化を中心に検討することを目的とした。 2022年5月に開催された国内ランキングポイント対象の1大会におけるシングルスの試合を研究対象とした。試合形式は、3セットマッチ、ノーアドバンテージ方式であった。対戦する両者の同意が得られた99試合(全試合の77%)、合計107名の選手による6376ポイント、40239打について動画撮影を行い、動画分析ソフトウェアKinoveaとMicrosoft Excel、統計解析ソフトウェアRを用いてスタッツを集計した。先行研究に則り、以下の5つをプレッシャー状況下と定義した:①ゲーム後半、②相手があと1ゲームでセット取得となるゲーム、③ファイナルセット、④相手のゲームポイント、⑤相手のブレイクポイント。これらの5項目への該当数をプレッシャースコア(0–5点)とし、各スコアにおけるショットの種類とコースの割合、およびラリー回数の平均値を算出した。 集計の結果、強いプレッシャーがかかっていると想定される状況下において、フォアハンドトップスピンはクロスへの打球が増加する傾向にあった(0点:16.6%、4点:22.2%、5点:20.3%)。同様に、バックハンドトップスピンはストレートへの打球が増加する傾向にあった(0点:5.3%、4点:6.5%、5点:8.9%)。また、プレッシャー状況下ではラリー回数が増加する傾向が見られた(0点:5.4回、4点:7.3回、5点:8.5回)。 プレッシャー状況下において、ラリーの増加に加えてフォアハンドとバックハンドで異なる配球が生じていることが明らかになった。