日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表⑦

2023年8月31日(木) 13:30 〜 14:29 RY103 (良心館1階RY103番教室)

座長:小西 康仁(東海大学)

13:45 〜 13:59

[競技スポーツ-C-26] 跳躍運動の助走におけるリズム化身体知のコツ発生に関する発生運動学的一考察(スポーツ運動学)

*森井 大樹1 (1. 日本女子体育大学)

陸上競技の跳躍系種目における助走、長縄とびで入るときの間合いなど個人の運動の組み合わせ、ないし物体との運動をリズミカルに組み合わせる場合において「助走のリズムが合わなかった」や「縄のリズムに合わせて」など「リズム」という動感言語はスポーツ動作の指導においてしばしば用いられる。あるいはサッカーやバスケットボールなどの攻防において「リズムを崩され、突破されてしまった」など、他者とのリズムの関係が問題となる場合もある。このように「リズム」という動感言語を用いた運動現象は枚挙にいとまがなく、動きの習熟度を高めていく上で重要なカテゴリーの一つである。
 「リズム」という現象はマイネル(1981)によれば「ある運動の力動的構造であり、すなわち、ひとつの運動の根底に横たわっている緊張と解緊の周期的交替」といわれ、「運動リズム」としてスポーツの運動経過を詳しく規定していくカテゴリーの一つとして分類されている。一方で、マイネルの運動学を批判的に継承し、現象学的運動学として発展させた金子(2005)によっては「リズム化能力」として体系化され「先読みや情況感などのカン身体知とも複雑に絡み合って」いることが指摘されている。すなわち、運動全体の流れを先読みすることや、相手ないし自分の動き、あるいは物体の動きの先読み、さらにリズミカルに動けるための身体操作のコツなどが複雑に絡み合って運動リズムが発生するものと考えられる。
 本研究では体操競技の跳馬の助走リズムに焦点を当てる。助走リズムの修正指導において、その発生に関わったコツやカンの内実について明らかにし、スポーツ指導において重要なカテゴリーの一つとして位置付けられるリズムの指導に有益な情報を還元することを目的とする。発表では助走リズムの発生様相やその動感構造の中身について掘り下げて、そのコツやカンの絡み合い構造について詳しく解説していく。