日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表⑧

2023年8月31日(木) 13:30 〜 14:29 RY107 (良心館1階RY107番教室)

座長:加藤 えみか(京都産業大学)

13:30 〜 13:44

[競技スポーツ-C-29] 後方かかえ込み宙返りにおける視線移動パターンと跳躍の高さの関係(心)

*佐藤 佑介1 (1. 日本大学)

体操競技において後方かかえ込み宙返りは基本的な技であるといえよう。この運動を成功させるために、体操選手は空中において自身の位置や姿勢を適切に認識する必要がある。それを支えている感覚情報の1つが、視覚情報である。佐藤(2008)は、体操選手が後方かかえ込み宙返り中に視覚情報を利用していることを示す定量的なデータを取得した。それにより、体操選手は2種類の方法を用いてその情報を収集していることが明らかになった。1つは、踏切直後に固視を行うパターン(固視パターン)であり、もう1つはそれを行わないパターン(固視なしパターン)であった。次ぐ課題は、それらの視線移動パターンの違いが後方かかえ込み宙返り中の動作や姿勢に影響を与えるかどうかを検討することである。それを明らかにすることは、この運動中の合目的的な視線移動パターンの明示につながるであろう。本研究では、まずは後方かかえ込み宙返り中の2種類の視線移動パターンとこの運動中の跳躍の高さの関係を検討することを目的とした。実験参加者は、健常な男子大学体操選手であった。参加者は、体操競技で用いられる、ゆかで後方かかえ込み宙返りを行った。その際、体操選手はウェアラブルアイトラッカーを着用した。そのデータから、体操選手が踏切時に固視を行ったか否かが確認された。後方かかえ込み宙返りは、デジタルビデオカメラで撮影された。撮影された映像から、動作解析ソフトウェアにより重心が算出された。重心の垂直変位から跳躍の高さが求められた。実験の結果、後方かかえ込み宙返りにおける跳躍の高さは、固視パターンを行った場合の方が、固視なしパターンのものよりも高かった。固視なしパターンの場合、踏み切り直後に頭部を背屈させることが跳躍の高さの低下につながったと考えられる。今後、これらの視線移動パターンと動作や姿勢の関係をさらに検討する必要がある。