日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表⑧

2023年8月31日(木) 13:30 〜 14:29 RY107 (良心館1階RY107番教室)

座長:加藤 えみか(京都産業大学)

14:15 〜 14:29

[競技スポーツ-C-32] 投動作の運動イメージが上肢筋における皮質脊髄路興奮性に与える影響(生)

*山﨑 大輝1、金子 直嗣1、益城 優芽1、中澤 公孝1 (1. 東京大学大学院総合文化研究科)

【緒言】
運動イメージとは、実際の動作は伴わずに、ある運動を脳内で再現させることを指す。先行研究により、運動イメージ中には実際に運動を実行しているときに似た神経活動が生じることが報告されている (Kaneko et al., 2021; Kasai et al., 1997)。しかしながら、これらの研究は歩行や単関節運動を対象としており、スポーツで実際に行われるような全身を用いた複合的な動作をイメージした際の神経活動を調べたものは少ない。本研究では、全身のダイナミックな運動である野球の投動作のイメージが、上肢筋の皮質脊髄路興奮性にどのような影響を与えるのかを調べることを目的とした。
【方法】
健常成人2名を対象とし、一次運動野橈側手根伸筋支配領域に経頭蓋磁気刺激 (TMS) を与え、運動誘発電位 (MEP) を誘発した。次の2条件でMEPを比較した。①閉眼で何もイメージしない安静条件、②閉眼し、利き腕でボールを前方に投げるイメージをするイメージ条件。各試行中の橈側手根屈筋 (FCR)、橈側手根伸筋 (ECR)、第一背側骨間筋 (FDI)、短母指外転筋 (APB) のMEPを記録した。TMS の刺激強度は安静時運動閾値の120%とした。刺激回数は各条件で10回ずつ、合計20回であった。得られたMEPの最大振幅値から皮質脊髄路興奮性を評価した。
【結果・考察】
安静条件におけるFCR、ECR、FDI、APBのMEP振幅はそれぞれ0.14±0.11mV、0.45±0.34mV、1.24±1.17mV、0.92±0.78mVであった。一方で、運動イメージ条件におけるMEP振幅はそれぞれ、0.38±0.08mV、0.49±0.41mV、1.93±1.22mV、1.49±1.19mVであった。これらの結果から、投動作の運動イメージは上肢筋の皮質脊髄路興奮性を増大させる可能性が示された。