日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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体育社会学/口頭発表④

2023年9月1日(金) 15:02 〜 15:53 RY304 (良心館3階RY304番教室)

座長:植田 俊(東海大学)

15:28 〜 15:53

[02社-口-09] 学生アスリートの競技への取り組み方は人気企業からの内定獲得に影響するか?

*束原 文郎1、横田 匡俊2 (1. 京都先端科学大学、2. 日本体育大学)

学生アスリートは他に比して就職で有利となるという「体育会系神話」の機序に関する研究は,属性的条件や社会性の獲得を主な説明変数とみなしてきたが、競技への取り組み方の影響を検討してこなかった.そこで本報告では,学生アスリートの競技への取り組み方を評価し,就職状況との関連を検討する.
 2021年11月−23年1月までの期間に(株)アスリートプランニング(以下,AP)が企画した体育会学生限定のキャリアイベントに参加した全学生アスリートを対象に,QRコード読み込み式ウェブアンケート調査を実施した.
 有効サンプル6,819(43.6%)を次の3群に分けて,目的変数を設定した.すなわち,APへの内定報告がなされなかったX群3,486人,APに対し何らかの内定報告を行った回答者3,333人のうち,人気企業ランキングTop 300社からの内定と特定できなかったY群2,666人,および人気企業ランキングTop 300社からの内定と特定できたZ群667人である.
 競技への取り組み方は,次の通り変数化した.まず,スポーツ版自己調整学習尺度およびライフスキル尺度から任意の19項目を設定し,因子分析(最尤法,エカマックス回転)を行って7因子(失敗への対応,分析と思考,自己監視と反省,目標と計画,エフォート,自己効力感,計画行動)を得た.次に,因子得点を用いた階層クラスタ分析(ウォード法,ユークリッド距離)を実施し,サンプルを5つのタイプ(しっかり実践・反省型,単純計画型,パーフェクト型,その場で一生懸命型,アパシー型)に分類した.
 就職状況(X / Y / Z群)を目的変数,5つのタイプを説明変数に設定し,大学威信などの統制変数とともにロジスティック回帰分析にかけて検討した.その結果,学生アスリートの競技への取り組み方と就職状況には統計的に有意な関連があるが,大学威信の方がより支配的な影響力を持つことが確認された.