日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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体育科教育学/口頭発表②

2023年9月1日(金) 10:00 〜 11:19 RY103 (良心館1階RY103番教室)

座長:本多 壮太郎(福岡教育大学)、三田部 勇(筑波大学)

10:32 〜 10:47

[11教-口-08] 留学生を交えた体育の模擬授業での日本人学生の学習経験

*池下 桃佳1、木塚 宙敬1、古田 映布1、戸村 貴史1、佐藤 貴弘2 (1. 筑波大学大学院、2. 筑波大学)

近年、日本国内のグローバル化の進行に伴い、学校現場においても多様な背景を持つ外国人児童生徒が増加している。多様化が進む学校現場において、体育科教育は子どもたち同士の関わり合いが多い教科であり、とりわけ相互理解などの社会的態度を育成する有効性が示唆されている(大津,2010)。また、体育授業においては、授業の内容が理解できないといった言語的な課題に加え、生活習慣や宗教的な背景の違いにより、授業への参加ができないまたは服装等に関する条件つきでの実施となるなどの問題が起こり得る。これらのことから、Satoら(2019)は体育教師が第二言語学習者の問題に取り組み、インクルーシブな学習環境を構築する必要性を指摘しており、これらの解決に向けた教員の養成は喫緊の課題である。しかし、教員養成課程において外国人児童生徒教育に関する内容を取り扱っている教員養成大学は少ないことが明らかとなり、多くの研究者が教員養成課程において外国人児童生徒教育に関する内容について学んでおくことの重要性を示唆している。そこで本研究では、中・高等学校保健体育科教諭一種免許状取得を目指す学生の外国人生徒を含んだクラスにおける体育指導の視点に着目し、留学生を交えた体育の模擬授業における日本人学生の学習経験を明らかにすることを目的とした。対象者は研究者が開催した「留学生を交えた体育の模擬授業の1Dayセッション」において、教師役を務めた中・高等学校保健体育科教諭一種免許状取得を目指す大学生7名とし、セッション終了後に半構造化面接法にてデータ収集を行なった。データ分析の結果から、模擬授業での日本人学生の学習経験として①外国人児童生徒への指導に対する認識の変化、②体育授業における外国人児童生徒への個別の指導・配慮の必要性への気づき、③体育授業内での多様性を生かした学びの価値の発見という3つのテーマが導き出された。