日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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測定評価/口頭発表①

2023年9月1日(金) 09:40 〜 10:39 RY204 (良心館2階RY204番教室)

座長:高橋 信二(東北学院大学)

10:25 〜 10:39

[08測-口-04] 柔道選手の把持力・耐把持力に関する研究

釣り手と引き手の関係に着目して

*中川原 知波1、射手矢 岬3、久保田 浩史2 (1. 早稲田大学大学院、2. 東京学芸大学、3. 早稲田大学)

柔道競技では様々な体力が必要とされる。特に、相手と直接組み合うことが必須であるため、柔道衣を把持する力は、欠かせない体力要素である。柔道では、柔道衣の襟を持つ手を釣り手、袖を持つ手を引き手といい、釣り手が右手の者を右組み、左手の者を左組みという。釣り手と引き手の役割は異なると考えられるため、組み手の違いが柔道衣を把持する力の一側優位性に影響を及ぼす可能性がある。これまで、我々は新規の測定方法を採用し、柔道選手と他種目選手を対象として、握力、把持力(柔道衣を把持する力)、耐把持力(相手の力に対応して耐えて離さない力)を測り比較することで、その特性について検討してきた。本研究では、組み手の異なる柔道選手の握力、把持力、耐把持力を測り比較することで、組み手が柔道衣を把持する力に及ぼす影響について検討することを目的とした。 対象者は、大学女子柔道部員19名および実業団選手3名の22名であり、右組みの者を右組み群(12名)、左組みの者を左組み群(10名)とした。なお、対象者は全て右利きである。握力の測定には、スメドレー式握力計を用いた。また、把持力および耐把持力の測定には、張力用アタッチメント、デジタル指示計を取り付けた把持力・耐把持力測定器を使用した。把持部は一般的な棒状の把持部(バータイプ)と、柔道衣の袖を加工した把持部(袖タイプ)の2種類を使用した。対象者は座位姿勢で肘関節を90度に屈曲させ、体側に上腕を密着させた状態で把持部を把持し、力発揮を行った。本研究の結果として、握力では釣り手より引き手が有意に大きく、耐把持力(袖タイプ)では左組み群において、釣り手より引き手の方が有意に大きくなった。しかしながら、その他の力発揮では釣り手・引き手間に差が見られない傾向にあり、組み手の影響については今後も検討する必要がある。