日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

講演情報

ポスター発表(専門領域別)

専門領域別 » 体育心理学

体育心理学(偶数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 11:00 〜 12:00 RY205 (良心館2階RY205番教室)

[03心-ポ-34] トライアスロン競技における心理的特徴

運動依存と心理的競技能力に着目して

*小口 愛海1、長田 実莉1、小板橋 京汰1、遠藤 慎也2、西垣 景太1,2 (1. 東海大学大学院 健康学研究科、2. 東海大学 健康学部)


数あるスポーツ種目の中でも最も過酷な競技の一つと考えられているトライアスロンだが、近年選手人口も増えている。しかし、練習時間や練習量も求められる中、運動依存に焦点を当てた研究は少ない。そこで本研究では、トライアスロン競技者の心理的特徴と運動依存の影響について検討した。
対象者は、トライアスロン競技者の男女135名とした。徳永ら(2002)の心理的競技能力診断検査(以下、DIPCA.3)の52項目とHausenblasら(2002)の運動依存尺度(以下、EDS-21)の21項目に、属性や運動経験(性別、所属、学年、年齢、トライアスロン競技歴など:以下、基本データ)の質問項目を追加したアンケートを作成し、Webアンケートで無記名での回答を求めた。
DIPCA.3の各12尺度と合計得点、EDS-21の各7因子と合計得点の相関分析と重回帰分析を行った。相関分析では、EDS-21の8項目中5項目が、DIPCA.3の合計得点と有意な正の相関が見られた。このことから、心理的競技能力が高いほど、競技力向上を目的に運動依存に陥りやすいのではないかと考えられる。さらに重回帰分析では、さまざまな尺度・因子間に影響が見られたが、中でもDIPCA.3の「集中力」にはEDS-21の多くの因子が正の影響を与えている事が明らかになった。これは、トライアスロンにおける3種目練習しなければならないという時間的制約の多い状況が、EDS-21の運動量や時間、継続、合計得点などへ影響を与えているのではないかと考えられる。
本研究では、大学生の低学年に心理的競技能力が高く運動依存傾向が高くみられた。大学生で競技を始めた時は熱中しやすいことが考えられるが、運動依存傾向が高く続くと精神的不調に繋がるとされているため、トライアスロンにおける練習では、運動依存に陥らない程度に自己をコントロールしながら行うことが必要である。