日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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運動生理学(偶数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 11:00 〜 12:00 RY207 (良心館2階RY207番教室)

[04生-ポ-34] 爪郭部毛細血管の血流速によるストレス評価の可能性

*井上 裕美子1、湯浅 陽一郎1 (1. 大阪工業大学)


心理ストレスが高まると鼻先や指先の温度が下がるが、温度変化は、皮膚血流量の減少後に生じるため、反応が遅延する場合が多い。より反応が早いと考えられる毛細血管の血流速とストレスの関係が明らかになれば、より早く微細なストレスを評価できるのではないかと考えた。そこで本研究では、従来のストレス評価指標であるPOMSやTDMS-STとともに、爪郭部毛細血管の血流速を計測し、ストレスを評価できるかを検討した。
 実験参加者は大学生16名とした。ストレス実験とリラックス実験を2日間に分けて行なった。ストレス実験では、1桁同士の加減、2桁同士の加減、1桁と2桁の乗法の3条件の暗算を、リラックス実験では、音楽条件、深呼吸条件、膝伸展条件の3条件を行なった。両実験とも、PRE安静後に3条件を、その後POST安静を行なった。実験の前後で、POMS2、各条件前後にTDMS-STを行なった。血流速は、左薬指の爪郭部で計測した。
 TDMS-STは、ストレス実験では、条件前より条件後は、安定度が下がり、活性度が高くなる傾向が示された。逆にリラックス実験では、条件前後の変化量は少ないが、深呼吸条件、膝伸展条件では、安定度と活性度が下がる傾向が示された。POMSは、ストレス実験ではほぼ変化がなく、リラックス実験では、ネガティブな気分が有意に下がることが示された。毛細血管の血流速は、ストレス実験では、どの条件もほぼ安静と変わらないのに対して、リラックス実験では、多重比較の結果、膝伸展条件では有意に増加し、音楽条件も増加傾向が示された。
 毛細血管の血流速は、ストレス実験ではほとんど変化しなかったが、リラックス実験では、膝伸展運動や音楽条件で血流速が増加したため、リラックスの指標として働く可能性が考えられた。ストレス実験では、血流速に変化が示されなかったため、今後は、もう少し強いストレス時について検討する必要が示された。