日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

臨床(認定医・専門医)ポスター

歯周組織再生療法

臨床(認定医・専門医)ポスター
歯周組織再生療法(侵襲性歯周炎)

2017年12月17日(日) 09:00 〜 16:50 ポスター会場 (さくら)

DP-15~DP-20
(ポスター討論:12:00~12:50)

[DP-19] 広汎型侵襲性歯周炎患者に対し歯周組織再生療法を含む包括的治療を行った一症例

A case report of comprehensive treatment for generalized aggressive periodontitis using periodontal tissue regeneration therapy

福田 隆男,中尾 雄紀,讃井 彰一,豊田 敬介,田中 麗,西村 英紀/Takao Fukuda,Yuki Nakao,Terukazu Sanui,Kyosuke Toyoda,Urara Tanaka,Fusanori Nishimura (九州大学歯学研究院口腔機能修復学講座歯周病学分野/Department of Periodontology, Division of Oral Rehabilitation, Faculty of Dental Science, Kyushu University)

研修コード:2504

キーワード:侵襲性歯周炎、歯周組織再生療法、エムドゲイン

【症例の概要】患者:61歳 女性,初診:2011年7月21日 主訴:専門医による歯周病治療希望(他院からの紹介状持参)
【診査・検査所見】全顎的な歯根1/2以上の骨吸収の進行に伴う歯肉退縮と歯間乳頭の喪失が認められた。上顎臼歯部は自然脱落により喪失しており,臼歯部崩壊に伴う上顎前歯のフレアーアウトにより,13-23の歯間離開と21の挺出が著明であった。PCR 48%,BOP陽性62.5%,PD 6mm以上が13, 12, 21-23, 46, 44, 42, 31, 32, 34に存在。上顎前歯と36に著明な垂直性骨吸収を認めた。
【治療方針】①歯周基本治療,上顎前歯部の暫間固定 ②再評価 ③暫間連結修復物と治療用義歯による咬合の安定 ④歯周外科 ⑤再評価 ⑤口腔機能回復治療 ⑥SPT(約5年経過)
【治療経過・治療成績】基本治療および暫間固定により歯周組織の改善が認められため,治療用義歯で咬合性外傷をコントロールしながら治療を進めた。垂直性骨吸収の進行した13-23へエムドゲインを用いた歯周組織再生療法を行ったが,X線所見では歯槽骨の再生と全顎的な歯槽硬線の明瞭化を認め,良好に推移している。全額的な歯周組織および清掃環境の改善を確認した。
【考察・結論】歯科治療への恐怖心が強く,当初は浸麻下での治療困難であったが,徐々に慣れて歯周外科まで行うことができた。臼歯部補綴に関しては,インプラントを希望されなかったため,部分床義歯で対応した。歯槽骨吸収が進行していたため,多数歯の連結固定となったが,患者のモチベーションは高く良好に経過している。今後も長期安定できるようSPTを行う予定である。