日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

歯科衛生士症例ポスター

リスクファクター関連

歯科衛生士症例ポスター
リスクファクター関連

2017年12月17日(日) 09:00 〜 16:50 ポスター会場 (さくら)

HP-09~HP-13
(ポスター討論:12:00~12:50)

[HP-11] 新規経口抗凝固薬服用患者に歯周治療を行い,出血を伴う慢性歯周炎が改善した一例

A case in which periodontal treatment was given to patients taking a new oral anticoagulant and chronic periodontitis accompanying bleeding improved

沖野 成美1,森田 浩光2,北野 香1,樋口 拓哉2,萩尾 佳那子2,脇 勇士郎2,瀬野 恵衣2,米田 雅裕2,安河内 ひとみ1,廣藤 卓雄2/Narumi Okino1,Hiromitu Morita2,Kaori Kitano1,Takuya Higuchi2,Kanako Hagio2,Yuzirou Waki2,Kei Seno2,Masahiro Yoneda2,Hitomi Yasukouchi1,Takuo Hirohuzi2 (福岡歯科大学医科歯科総合病院 歯科衛生士部1,福岡歯科大学 総合歯科学講座 総合歯科学分野2/Division of dental hygienists, Fukuoka Dental College Medical and Dental General Hospital1,Section of General Dentistry, Department of General Dentistry, Fukuoka2)

研修コード:2504

【緒言】出血性素因のある患者にとって,歯肉状態が不良時のブラッシングは止血困難となる場合も多く,特に新規経口抗凝固薬(NOAC)服用患者についての歯周治療に関しては,報告が少ないことから判断に苦渋する場合がある。今回,NOAC服用中で,口腔清掃不良でブラッシング時の歯肉からの出血を主訴に来院された患者に歯周治療を行うことにより歯周状態が改善した症例を経験したので報告する。なお,本症例発表に際し,事前に本人の承諾を得ている。
【症例】70歳男性,不整脈によりNOAC(ダビガトラン)を服用しており,ブラッシング時の出血・止血困難を主訴に当院受診となった。初診時の口腔状態は不良で,下顎前歯部を中心に所々自然出血があり,全顎的に歯肉発赤が顕著であった。O'LearyのPCR=100%,残存歯は17本,うちすべての歯に4mm以上のポケットを有し,最深部は8mm,#46は根分岐部病変も存在した。
【診断】慢性歯周炎
【治療計画】①歯周基本治療②再評価③歯周外科治療④再評価⑤保存・補綴処置⑥歯周病安定期治療(SPT)
【治療経過】歯周基本治療として口腔衛生指導,スケーリング,ルートプレーニングを行った。再評価後,#46に対してリグロス®を用いた歯周組織再生治療法を実施。清掃性向上のため歯冠修復や歯内治療・補綴処置を行いながら歯周組織の安定を確認し,再評価後,SPTへ移行した。
【考察・まとめ】今回,NOAC服用中の患者に対し,適切な口腔衛生指導及び歯周治療を行うことで歯周状態の改善がみられたケースを経験した。今後も全身状態と歯周組織の状態に留意した継続的なSPTが重要であると考えられた。