[P-001] 多項目唾液バイオマーカー検査による歯周組織炎症の評価
Evaluation of periodontal inflammation status by a multi-test system for salivary biomarkers.
研修コード:2302
キーワード:唾液、バイオマーカー、歯周病、炎症、歯周組織の炎症面積(PISA)
【目的】歯科臨床においてもバイオマーカー測定による客観的な臨床検査が求められており,唾液を試料とする総合的な口腔検査法のチェアサイドへの応用を目指した多項目唾液検査システム(multi-salivary testing system; mST)が開発された。本研究では,企業内の歯科健診にmSTを導入して,歯周病関連項目の測定値と,歯科医師のプロービングによる歯周検査によって得られた歯周組織の炎症面積(PISA)の値との関連を分析した。
【対象・方法】研究参加に同意したアークレイ京都研究所の職員60名を対象として歯科健康診断を実施した。全残存歯に対して1歯6点法のプロービング検査を行い,ポケット深さと誘発出血の有無の記録から個人のPISA値を算出した。また受診者は,蒸留水3mLを口に含み10秒間含嗽後,回収容器に吐出した。これを唾液試料とし,直ちにアークレイ社製mST装置(スポットケムST)により検査試験紙キット(STチェック)を用いて測定した。7種の検査項目のうち,ヘモグロビン,タンパク質,白血球,アンモニアを本研究の分析対象とした。
【結果・考察】常習喫煙者4名を除外した56名の受診者のデータを分析対象とした。ヘモグロビンとタンパク質のレベルはPISAと統計学的に有意な正の相関が認められた(p<0.05, Spearmanの順位相関分析)。また,多項目の結果を合わせることで,PISAとの相関性が強まる傾向がみられた。唾液バイオマーカーレベルは歯周組織の炎症状態と関連しており,mSTにより複数のバイオマーカーを同時に測定することで,歯周組織の状態をより的確に評価できる可能性が示唆された。
【対象・方法】研究参加に同意したアークレイ京都研究所の職員60名を対象として歯科健康診断を実施した。全残存歯に対して1歯6点法のプロービング検査を行い,ポケット深さと誘発出血の有無の記録から個人のPISA値を算出した。また受診者は,蒸留水3mLを口に含み10秒間含嗽後,回収容器に吐出した。これを唾液試料とし,直ちにアークレイ社製mST装置(スポットケムST)により検査試験紙キット(STチェック)を用いて測定した。7種の検査項目のうち,ヘモグロビン,タンパク質,白血球,アンモニアを本研究の分析対象とした。
【結果・考察】常習喫煙者4名を除外した56名の受診者のデータを分析対象とした。ヘモグロビンとタンパク質のレベルはPISAと統計学的に有意な正の相関が認められた(p<0.05, Spearmanの順位相関分析)。また,多項目の結果を合わせることで,PISAとの相関性が強まる傾向がみられた。唾液バイオマーカーレベルは歯周組織の炎症状態と関連しており,mSTにより複数のバイオマーカーを同時に測定することで,歯周組織の状態をより的確に評価できる可能性が示唆された。