*Noriko Kaihara1 (1. National Institute of Public Health)
Session information
Public Symposium
高齢者施設の室内環境と感染症対策を考える
Tue. Oct 29, 2024 2:55 PM - 4:30 PM Venue5 (107-108, Sapporo Convention Center)
Chair:Yoshinori Honma, Yoko Moriyama
2類指定感染症であった新型コロナウイルス感染症が5類指定感染症に引き下げられるまでの間、8つの大きな陽性者急増の波が起こっている。このうちいくつかの波の期間で高齢者施設の感染クラスターが多数発生した。感染対策ガイドラインは「十分な換気」を励行しているものの、具体的にどのような換気対策が十分なのかは今も適切に説明しきれていない。
重症化リスクの高い高齢者が利用する高齢者施設は、確実な環境衛生の確保が求められる。24時間滞在型の高齢者施設はそのエネルギー消費が感染症対策としての機器運用に影響を及ぼすことも多く、窓開け換気が暖冷房負荷の増大につながる事例も多い。また、温湿度・空気質・においを制御する空調換気設備も多様であり、その室内空気質の管理水準は施設管理者の考え方によって大きな差がある。そもそも適切な換気設備が設計施工されていなければ、事後に施設管理者がいくら努力しても望ましいかたちで感染リスクを低減させることは難しい。COVID-19以外に目を向けると、高齢者施設では、インフルエンザ予防対策として導入された加湿器によってレジオネラ症集団感染を引き起こした事例もある。こうした感染症予防のための簡易な対策が逆に集団感染の原因のなるような事態は避けなければならない。
本シンポジウムでは、新型コロナウイルス感染症が蔓延し高齢者施設で発生したクラスターの状況やその後の改修対策等の取り組みなどを概観しながら、日本国内の高齢者施設の感染症対策の状況や、新型コロナウイルス感染症のみならず細菌感染症を含めた集団感染の事例、また、日本と海外(フィンランド)の高齢者施設における室内環境の特性や感染症対策の差異、さらに感染症対策として課題となる感染対策とエネルギーコストバランスなど、計4つのトピックを取り上げる。その上で、高齢者施設における高齢者のQOL向上と今後の感染症リスクの現状や改善方策について議論し、今後の高齢者施設における感染症対策及びより良い室内環境制御のあり方を考える場としたい。
*Tomoe Shimada1 (1. National Institute of Infectious Diseases)
*Motoya Hayashi1 (1. Hokkaido University, Faculty of Engineering)
*Yoshinori Honma1 (1. National Institute of Public Health)