第83回日本公衆衛生学会総会

セッション情報

公募シンポジウム

シンポジウム13:デイサービス利用者の重度化防止を目指した介護人材育成のスキームの開発と実証

2024年10月29日(火) 16:40 〜 18:15 第6会場 (札幌コンベンションセンター 小ホール)

座長:柴 喜崇(福島県立医科大学保健科学部)、植田 拓也(東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター) 指定発言者:大谷 寛美(湘南乃えん株式会社 デイサービスえん)、坂牧 優子(湘南乃えん株式会社 デイサービスえん)

 現在,介護保険制度において介護予防・日常生活支援総合事業や,自立支援型の地域ケア個別会議の推進など,介護現場における利用者の自立支援・重度化予防に向けた支援の実践が求められている.デイサービスは,自立支援・重度化予防を担う場として重要な役割があるが,機能訓練指導員として自立支援・重度化予防において活躍が期待されているリハビリテーション専門職の配置がある事業所は15.9%であり配置の割合は少ない(三菱UFJリサーチ&コンサルティング,2018).また,デイサービス2901事業所への調査(回答:1150事業所,有効回答率:39.6%)において,「利用者の状態変化の分析」を「直近1年以内に実施した」と回答した事業所は452事業所(39.3%)にとどまり,半数以上の事業所では利用者の状態変化の分析はされていない (みずほ情報総研株式会社,2018).
 高齢者の運動介入による身体機能の改善可能性は,年齢の影響は小さく(Arai, 2009),身体機能の低下した対象の改善可能性が高いことが示されている(新井ら,2006).また,デイサービス利用者には,評価に基づく適切な介入を行うことで,心身機能の維持・向上が見込める可能性がある(林ら,2016).また,要介護度変化への関連要因として,利用者の評価や希望を反映したケアプランとそれに即した支援の実施が重度化予防に効果的であることが示された(Matsuda,2009).これらの効果的な介入を実施する前提として,「評価と評価結果解釈・目標設定と介護計画」が重要となる.
 そこで、我々は、リハビリテーション専門職による遠隔での話し合い(利用者の評価、フィードバック、リハビリテーションへの助言)を、デイサービス職員と協働して考えることにより、①デイサービス職員の重度化予防・自立支援のためのスキル、ケアの質の向上、②利用者の自立支援・重度化防止(身体、精神、社会の側面)の効果を検証した。
 本シンポジウムでは、自立支援の視点を踏まえ、オンライン会議室システムを活用したリハビリテーション専門職によるデイサービス職員への人材育成支援の介入の結果を踏まえ、今後の、介護事業所における自立支援、重度化防止に向けたケアの質の向上のための人材育成支援の在り方について議論したい.

*新井 武志1、山中 信2、植田 拓也2、安齋 紗保理3、中瀬 咲子 (1. 長野県立大学大学院健康栄養科学研究科、2. 東京都健康長寿医療センター 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター、3. 城西国際大学 福祉総合学部 理学療法学科)

*安齋 紗保理1、山中 信2、植田 拓也2、新井 武志3、柴 喜崇4 (1. 城西国際大学福祉総合学部理学療法学科、2. 東京都健康長寿医療センター東京都介護予防フレイル予防推進支援センター、3. 長野県立大学大学院健康栄養科学研究科、4. 福島県立医科大学保健科学部理学療法学科)