*涌井 智子1 (1. 東京都健康長寿医療センター研究所)
セッション情報
公募シンポジウム
シンポジウム31:ケアを支える多様な家族への支援をどう考えていくかー社会的基盤と支援実践の強化に向けて
2024年10月30日(水) 13:40 〜 15:15 第5会場 (札幌コンベンションセンター 107-108)
座長:宮脇 敦士(東京大学大学院医学系研究科 ヘルスサービスリサーチ講座)
2023年の第82回日本公衆衛生学会総会にて行ったシンポジウムでは「ケアをとりまく家族の今とこれからの支援を考える」と題し、ケアを支える家族(以下、簡単のため、介護者と呼ぶ)の多様性がますます増していること、それを踏まえたデータに基づいた介護者支援の重要性を強調した。それを踏まえ、今回のシンポジウムでは、多様な介護者に対し、どのような支援が必要なのかの整理を行い、制度設計や現場での活動において留意すべきことを検討する。
まず、ケアを受ける側および介護者の性質の多様性を再度強調する。4人のシンポジストより講演を行う中で、縦の軸となる各論として、ケアと共に生きる家族のとらえ方とその多様な現状、高齢者施設の入居者の家族の介護負担、育児をしながら介護も担うダブルケアを始めとする複数のunpaid workが重なることによる負担、医療的ケア児の介護負担、について、論じる。次に横の軸として、それぞれの介護者に対し、どのような支援が必要なのかの整理を行い、制度設計の上で留意すべきこと(制度があるとできること、制度があってもできないこと、制度があることで逆に困ること・制度の狭間に落ちてしまう人)や現場レベルで留意すべきことについて論じる。
次に、介護者のますます増してくる多様性や、その多様性に縦割りになりがちな制度が追いついていない現状は、個別の細かい制度や現場の支援の基盤となる国レベルの介護者支援の指針の必要性を示しているかもしれない。近年、国レベルの介護者支援の指針は欧米を中心に導入されている。そこで、座長より2022年に指針を発表した米国の介護者支援政策を紹介する。
最後に4人のシンポジストの講演に共通する本質や、必要な支援の整理を行い、社会的基盤と支援実践の強化、およびまた、我が国における国レベルの介護者支援の指針の必要性について議論し、示唆を得ることを目指す。
*深堀 浩樹1 (1. 慶応義塾大学看護医療学部)
*森山 葉子1 (1. 国立保健医療科学院)
*松澤 明美1 (1. 北海道大学大学院保健科学研究院)