第83回日本公衆衛生学会総会

セッション情報

公募シンポジウム

シンポジウム54:公衆衛生専門管理栄養士(仮称)認定制度の創設に向けて-行政管理栄養士のあり方に関する委員会企画-

2024年10月31日(木) 09:00 〜 10:35 第8会場 (札幌コンベンションセンター 206)

座長:由田 克士(大阪公立大学大学院 生活科学研究科)、中村 美詠子(国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部)

 厚生労働省によると、2023(令和5)年度に全国の自治体で勤務している行政栄養士の人数は、7,435人(都道府県・保健所設置市・特別区2,655人、市町村4,780人)であり、直近の20年間で増加傾向にある。一方で、人口規模の小さな自治体では、未だに配置されていなかったり、1人配置・1人職種であることも多く認められる。人が生命を維持し、健康的で望ましい生活を営むうえで、食・栄養は必須の事柄であり、業務内容の幅広さや複雑さを勘案すれば、増員とあわせて、現役の行政栄養士の更なる資質向上が求められる。
 このことを目的とした取り組みについては、これまでにも、国や都道府県が実施しているほか、職能団体である日本栄養士会、都道府県栄養士会あるいは、全国保健所管理栄養士会においても、継続的に取り組まれている。また、本学会を始めとした学術団体に入会して、最新の情報を得たり、認定資格を取得する者も多い。さらに、近年では、在職のままで社会人として大学院に進学し、学びやスキルを深め、修士・博士の学位を得て、より高みを目指そうとする行政栄養士も目立つようになってきた。
 しかし、公衆衛生分野で活躍する管理栄養士においては、既述のような資質向上のための対応、個人が獲得した技術やスキル(学位の取得状況を含む)を客観的に認定する制度は認められない。認定制度を創設することにより、本人だけではなく、職場・職域の関係者にとっても、努力の成果や能力の高さを可視化することにつながり、望ましい人材登用や業務分担の最適化にも寄与するものと期待される。
 本シンポジウムでは、現在、創設に向けて準備が進められている公衆衛生専門管理栄養士(仮称)認定制度の背景、これまでの取り組み、認定のためのカリキュラムのあり方、期待される役割、今後の展開などについて4名のシンポジストから話題提供が行われた後、指定発言を得て、フロアの参加者を含めた総合討論を行い、情報共有と理解の深化を図り、より良い認定制度の創設を目指したい。