第83回日本公衆衛生学会総会

セッション情報

公募シンポジウム

シンポジウム52(日本口腔衛生学会共同企画):フレイル予防のための地域歯科保健-歯科保健のあり方に関する委員会/公衆衛生モニタリングレポート委員会企画-

2024年10月31日(木) 09:00 〜 10:35 第7会場 (札幌コンベンションセンター 204)

座長:福田 英輝(国立保健医療科学院)、芝田 登美子(三重県桑名保健所)

 令和6年から開始された「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第2次)」では、歯科口腔保健パーパス「全ての国民にとって健康で質の高い生活を営む基盤となる歯科口腔保健の実現」に向けて、器質的要素「良好な口腔領域の発育成長、う蝕や歯周病等の歯科疾患の発症・重症化予防」への取組とあわせて機能的要素「口腔機能の獲得・維持・向上の達成」への取組が期待されている。これら取組を地域において積極的に推進するには、エビデンスに基づいた計画と実施が求められる。本シンポジウムでは、岩﨑正則先生から「口腔機能と栄養・食生活に関するエビデンス」として、歯・口腔の健康と口腔機能が栄養・食生活への影響に関する知見の整理を行っていただくとともに、渡邉功先生から地域在住高齢者の小規模コホート集団を対象とした縦断調査から口腔機能変化に関する知見等に関する講演をいただく。また、基本的事項(第2次)と同時開始となる「地方公共団体における歯科保健医療業務指針」では、自治体の歯科保健業務として、都道府県後期高齢者医療広域連合と連携した後期高齢者に対する歯科健診の実施、および高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施により、口腔機能の維持・向上に向けた取組の推進に努めることが示されている。今回、地域歯科保健活動の事例紹介を含めて、三浦宏子先生から後期高齢者歯科健診後の保健指導を含めた体系的アプローチを例に実践的介入方法を紹介いただく。また、自治体の立場として田所大典先生から「口の健康・栄養・運動・社会参加」をコンセプトとした「カムカム健康プログラム」や健康経営としての取組例を紹介いただく。
 健康日本21(第3次)の「歯・口腔の健康」領域では3指標の一つとして「よく噛んで食べることができる者の増加」が掲げられており、口腔機能の維持・向上は、器質的・機能的な要素を含めた総合的な指標と位置付けられている。本シンポジウムでは、口腔機能と関連した知見の整理と地域での活動例をもとに、フレイル対策における地域歯科保健活動、とくに口腔機能の維持・向上に向けた取組の意義を再整理し、そのあり方を議論したいと考えている。なお、本シンポジウムで扱うテーマは、日本口腔衛生学会にとっても共通、かつ重要なテーマであることから、日本公衆衛生学会と日本口腔衛生学会との合同企画として実施した。