*吉田 司1 (1. 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
セッション情報
公募シンポジウム
シンポジウム53:働く世代からのフレイル予防:地域から職域まで
2024年10月31日(木) 10:45 〜 12:20 第7会場 (札幌コンベンションセンター 204)
座長:西 信雄(聖路加国際大学大学院公衆衛生学研究科)、小野 玲(医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所)
人生100年時代の到来が叫ばれるようになってきたが、単に余命が延伸するだけでなく、自立した状態で生活を営む期間すなわち健康寿命の延伸が重要である。フレイルは健康と要介護状態の中間段階であり、適切な介入により健康な状態に戻る可逆性があると考えられているため、フレイル対策は健康寿命延伸のための主たる方法として位置づけられている。
政府関係機関移転基本方針に基づき、厚生労働省は管轄する医薬基盤・健康・栄養研究所、および大阪府とともに、医薬基盤・健康・栄養研究所の構成機関の一つである国立健康・栄養研究所を、東京都新宿区から大阪府吹田市・摂津市にまたがる北大阪健康医療都市(摂津市側)への移転することを発表した(2017年3月31日)。これを契機に、大阪府が展開する「健康格差解決プログラム促進事業」の一部を研究所と共同し、フレイル対策を実施してきた。これまでのフレイル対策は高齢者をメインターゲットとしてきたが、本事業では「働く世代からのフレイル予防」をテーマとして、中年者を含めた働く世代の幅広い対象者にアプローチをするユニークな取り組みであった。
本シンポジウムでは、大阪府の取り組みに実際に関わった大阪府・摂津市の職員と研究者に登壇いただき、フレイルの基本的な情報を把握しつつ、広域自治体である大阪府としての課題や枠組みと対策、基礎自治体である摂津市としての課題や事例と気付きなど、働く世代を対象とした実際の取り組みを詳細に報告する。また、働く世代が平日昼間に地域にいないことが多いことから、働く世代に直接アプローチするために職域でのフレイル対策の事例についても紹介する。さらにフレイルへの介入プログラムの設計と具体的な内容および背景にあるエビデンスを押さえつつ、事業を通して得られた研究成果を提供しフレイルについての理解を深める。これにより、シンポジウム参加者がフレイル対策の立案や活動に役立つ具体的なアイデアが得られることを目指すとともに、意見交換を通じて取り組みの応用とさらなる発展を模索する。
本シンポジウムが参加者にとって新たな視点を提供し、フレイル対策の一層の推進につながることを期待する。
*岡林 恵1 (1. 大阪府健康医療部)
*澤田 奈緒美1,2 (1. 摂津市、2. 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)
*渡邉 大輝1,2 (1. 早稲田大学スポーツ科学学術院、2. 医薬基盤・健康・栄養研究所)