第22回日本緩和医療学会学術大会

セッション情報

シンポジウム

[SY2] がん悪液質(Cachexia)に対する治療戦略の最前線

2017年6月23日(金) 09:00 〜 10:30 第4会場 (会議センター 301+302)

座長:中島信久(東北大学大学院 医学系研究科医科学専攻 外科病態学講座 緩和医療学分野)、安部能成(千葉県立保健医療大学 リハビリテーション学科)

企画趣旨
 がん悪液質(Cancer cachexia)は、「栄養治療で改善することが困難な著しい筋肉量の減少が見られ(脂肪量の減少の有無に関わらず)、進行性に機能障害をもたらす複合的な栄養不良の症候群である。病態生理学的には、栄養摂取量の減少と代謝異常によってもたらされる蛋白およびエネルギーの喪失状態である」と定義されます。食欲不振を生じるとともに、腫瘍産生因子や炎症性サイトカインが筋蛋白・筋線維の分解を促進し、筋崩壊が生じ、筋萎縮・筋力低下を呈する結果、活動性の低下による廃用性筋萎縮が進行し、さらに身体活動が制限され、体力・持久力の低下を生じるという悪循環に陥ります。がん悪液質は概念的に前悪液質(pre-cachexia)、悪液質(cachexia)、不応性悪液質(refractory cachexia)の3つに分類されます(Fearon;lancet Oncol;2011)。進行がん患者においては、悪液質に対する早期からの適切なマネージメントを実施して前悪液質から悪液質への移行を防ぐことと、悪液質から不応性悪液質に移行した際に治療・ケアの方向性を見直すことが重要なポイントになります。しかし、その診断や治療に関して標準的な方法はいまだ確立していません。本シンポジウムでは、がん悪液質の評価ならびに栄養療法、リハビリテーションを含めた多角的治療に関する最新の知見やベストプラクティスについてディスカッションを行い、がん悪液質への理解を深め、明日からの診療に生かしたいと思います。

中島 信久 利益相反1 〜 13:該当無し
安部 能成 利益相反1 ~ 13:該当無し