第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

委員会企画シンポジウム

委員会企画シンポジウム1
精神障害の労災認定基準改正を機に医師の働き方改革や職域の自殺予防、そして現場でできる介入を考える

2024年6月20日(木) 08:30 〜 10:30 B会場 (札幌コンベンションセンター 1F 大ホールA)

司会:井上 幸紀(大阪公立大学大学院医学研究科神経精神医学),吉村 玲児(産業医科大学医学部精神医学教室)
メインコーディネーター:坪井 貴嗣(杏林大学医学部精神神経科学教室)
サブコーディネーター:井上 幸紀(大阪公立大学大学院医学研究科神経精神医学),吉村 玲児(産業医科大学医学部精神医学教室)

委員会:産業保健に関する委員会

職域における精神障害や自殺事案を語る上で労災認定の有無は重要な観点であり、これまでは平成23 年に策定された「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づき労災判定が行われてきた。しかし、近年の社会情勢の変化や労災請求件数の増加等に鑑み、令和5 年にその基準が改正されたことは、産業保健と近接せざるを得ない我々にとって重要な情報である。本シンポジウムでは改正のポイントや精神科医・産業医が注意すべき点についてまずは講演いただく。次に厚生労働省の「令和4 年版過労死等防止対策白書」によると、労災認定要因の割合(精神障害)の原因として男女ともに恒常的な長時間労働があげられている。また昨今研修医の過労死問題が報道され、我々医療者にとって労災を考える上で時間外労働規制は喫緊の課題である。そこで令和6 年度より施行される医師の働き方改革について、行政の立場より教示いただく。さらに上記白書によると、職域における自殺事案数は精神障害による労災認定数の6 人に1 人が該当しており、その自殺予防対策が不可欠である。「労働者の自殺予防マニュアル」が既に発表され、そこには自殺の予兆について詳説されているが、実際の職域では自殺念慮などの聴取を躊躇っているケースが散見されている実態がある。そこで令和時代の職域における自殺予防対策をどのように行うべきか、について本シンポジウムが考える機会になればと思う。このような労災認定基準改正、長時間労働対策、自殺予防対策はいずれも産業メンタルヘルス領域とは切り離すことはできず、職域におけるあらゆる予防段階でどのような精神医療的介入が有用か討議したい。本シンポジウムが、就労者にとって健康で生き生きとした生活、そして人生を送れるようなヒントを生み出せるものになればと願う。