古郡 規雄 (獨協医科大学精神神経医学講座)
セッション情報
委員会企画シンポジウム
委員会企画シンポジウム3
向精神薬は本当に有益か?:向精神薬の有効性と安全性のエビデンスはどのように評価されるべきか
2024年6月20日(木) 08:30 〜 10:30 I会場 (札幌コンベンションセンター 2F 204会議室)
司会:渡邊 衡一郎(杏林大学医学部精神神経科学教室),橋本 亮太(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神疾患病態研究部)
メインコーディネーター:古郡 規雄(獨協医科大学精神神経医学講座)
サブコーディネーター:渡邊 衡一郎(杏林大学医学部精神神経科学教室),橋本 亮太(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神疾患病態研究部)
委員会:薬事委員会
向精神薬は、精神疾患の管理と症状の軽減に使用されており、多くの患者にとって不可欠な治療法である。しかし、その有益性と安全性に関する結論は出ておらず、議論は依然として続いており、適切な評価が求められる。向精神薬の効果は、臨床試験、メタアナリシス、リアルワールドデータなどを通じて評価されるが、これらの研究は、症状の改善、再発予防、日常生活の機能向上などを含む様々な側面から有益性を検討している。また、向精神薬の安全性には副作用、薬物相互作用、長期的なリスクなどが含まれる。特に高齢者や特定の患者群へのリスク評価が重要で、安全性の評価と患者への情報提供は、治療プランの最適化に不可欠である。
しかしながら向精神薬に関するエビデンスは、さまざまな制約に直面している。倫理的な制約、長期的なデータの不足、個別の患者の適切な評価などが挙げられる。われわれはエビデンスの不確実性を考慮し、それを補完する方法論的な進歩が必要である。また、新たな評価指標の開発や、偽薬対照試験の倫理的な検討も今後の研究において重要である。
向精神薬の有益性の評価は継続的なプロセスであり、精神疾患患者の最善の利益を守るために適切に行われるべきで、包括的なアプローチを取り、研究者、臨床医、患者、政策立案者が協力して向精神薬の利用に関する評価を進めることが重要と考える。
稲田 健 (北里大学医学部精神科学)
堀 輝 (福岡大学医学部精神医学教室)
三島 和夫 (秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座)
安田 由華1,2,3 (1.医療法人フォスター生きる育む輝くメンタルクリニックNeo 梅田茶屋町, 2.国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神疾患病態研究部, 3.大阪精神科診療所協会)