第51回日本理学療法学術大会

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日本呼吸理学療法学会

日本呼吸理学療法学会
エキスパートのための呼吸理学療法早期離床におけるPro-Con

Sat. May 28, 2016 11:20 AM - 12:50 PM 第2会場 (札幌コンベンションセンター 1階 特別会議場)

司会:小川智也(公立陶生病院中央リハビリテーション部), 笹沼直樹(兵庫医科大学病院リハビリテーション部)

[KS1027-1] エキスパートのための呼吸理学療法早期離床におけるPro-Con

山下康次1, 岸川典明2 (1.市立函館病院リハビリ技術科, 2.愛知医科大学病院リハビリテーション部)

早期離床の歴史的背景は,Riseが産婦人科領域の術後患者について早期離床の好成績を報告(1889年)したのをきっかけに,欧州において数多くの早期離床を推奨する報告がなされたものの,「医学的根拠によらない外科的好奇心に基づくもの」と批判された。そのため,Leithauserらは,外科術後患者に術後早期離床の試みを報告(1941年)し,以降多くの報告が相次いでなされ早期離床が身体諸器官に好影響を与えることが判明されるに至った。その後,早期離床は多くの領域で対象患者が拡大し合併症予防に貢献してきた。近年は,人工呼吸器装着中の患者を対象とした早期離床が注目を浴びるようになってきた。その背景には,Schweickertらにより,鎮静を一時中断した環境での人工呼吸器装着中の患者に対する早期離床は,退院時身体機能の向上やICUせん妄期間,人工呼吸器間の有意な改善を認めたと報告されたことにある。その後,米国集中治療医学会より人工呼吸管理のあたらしい指針が示され,なかでも鎮静管理の変革に伴う早期離床の実践が現在注目されている。一方,人工呼吸器装着中の患者に対する早期離床は,対象疾患や開始・中止基準はさまざまであり,いつ・誰が・どの時期に・どのような方法で行うのか明確に示されていない。堺らは,如何なる症例にも早期離床が可能というわけではなく「離床を強行する」ことにより思わぬ事故,合併症を招来することもあり得る。症例に応じ,最も適した離床をなさしめることが極めて重要なものと考えられる(1962年 外科治療より),と述べているが,現代にも通じる重要な指標であると考える。我々は,早期離床を十分検証し「一時期の流行り」としてはならない。そのためにも,本セッション「エキスパートのための呼吸理学療法」では早期離床の有用性あるいは必要性に関して,それぞれPro(賛成)およびCon(反対)の立場から論じ,多くの会員とともに本テーマについて考察する予定である。