第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題口述

日本地域理学療法学会 一般演題口述
(地域)03

2016年5月28日(土) 10:00 〜 11:00 第5会場 (札幌コンベンションセンター 2階 201+202)

座長:堀秀昭(福井医療短期大学 リハビリテーション学科理学療法学専攻)

[O-TK-03-1] 地域ケア会議と通所・訪問型介入による介護予防強化推進事業の効果

第2報:集中介入終了後6ケ月における社会参加状況の調査

徳久謙太郎, 鶴田佳世, 中村潤二, 小嶌康介, 林佑樹, 岡本昌幸, 菅野ひとみ, 尾川達也 (西大和リハビリテーション病院)

キーワード:介護予防, 地域ケア会議, 社会参加

【はじめに,目的】

奈良県の生駒市では厚生労働省のモデル事業の一つである介護予防強化推進事業を平成24年10月から開始している。この事業では集中介入期として3ケ月間にわたり通所型と訪問型の介護予防サービスを提供,また手段的日常生活活動(IADL)を活性化させることにより,要介護状態からの脱却や予防を図る。その後3ケ月ごとに移行期,生活期を設け,地域社会への参加を定着させ,生活機能の低下を予防していく。我々は第50回大会にて,3ケ月間の集中介入による身体機能面・活動面での効果について報告した。今回,集中介入終了後6ケ月における参加者の社会参加状況について調査したので報告する。


【方法】

対象は地域在住の特定高齢者から要介護2の認定を受けた者で,本事業に参加の同意が得られた89名の内,6ケ月間追跡調査が可能であった81名である。参加者は週2回の通所型運動教室にて柔軟性運動,筋力増強運動,バランス・持久力運動と,療法士による個別課題練習を2時間実施した。加えて2-3回の自宅訪問により,屋外歩行やIADL,自主練習指導などを受けた。また初期,中間,最終の3回の地域ケア会議では多職種にて参加者の生活課題や目標などを検討した。集中介入期終了後には地域支援事業や互助団体等を紹介し,社会参加の機会を持つよう促した。評価は集中介入期前後に実施し,機能的指標として片脚立位保持時間,座位体前屈距離,5m最大歩行時間,Timed up & go test(TUG),握力,30秒起立試験(CS30),2分間ステップ試験(2MS)を,IADLの指標としてFrenchay Activities Index(FAI)を測定した。統計解析は正規性の有無により対応のあるt検定またはウィルコクソンの符号付順位和検定を用い,有意水準は5%とした。また,集中介入終了時,3ケ月後,6ケ月後に社会参加状況について調査した。


【結果】

集中介入の前後比較では,片脚立位保持時間は21.0±20.9から25.2±22.9秒(p=0.003),修正座位体前屈距離は20.2±9.7から21.4±8.6cm(p=0.03),5m最大歩行時間は4.1±1.6から3.7±1.4秒(p<0.001),TUGは9.3±3.1から8.5±2.9秒(p<0.001),握力は21.1±6.1から21.7±6.1kgf(p=0.03),CS30は12.5±4.2から14.7±3.6回(p<0.001),2MSは53.5±20.2から57.2±20.2回(p<0.001),FAIは23.7±8.1から25.9±8.2点(p<0.001)へと有意な改善を示した。社会参加状況は6ケ月の時点で,地域支援事業19名,地域の互助団体15名,集中介入再参加7名,介護保険移行者10名,入院者5名,死亡者1名,社会参加はせず終了した者24名であり,50%が社会参加しながら生活しており,入院や介護保険へ移行した者は18%であった。


【結論】

生駒市の介護予防強化推進事業の参加者は,3ケ月の集中介入により身体機能面,活動面において改善がみられた。また集中介入期終了後も社会参加を促したことにより,6ケ月経過後も介護保険に頼らず社会参加しながら生活している者が多くみられた。