第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題口述

日本地域理学療法学会 一般演題口述
(地域)06

2016年5月28日(土) 13:40 〜 14:40 第5会場 (札幌コンベンションセンター 2階 201+202)

座長:佐藤史子(横浜市総合リハビリテーションセンター 地域リハビリテーション部 地域支援課)

[O-TK-06-6] 生活期リハにおける訪問リハビリ(以下:訪問看護からのリハビリを含む)の連携課題

介護支援専門員(以下:CM)アンケートからの検討

近藤弘典 ((株)セラピット訪問看護ステーションリハ・リハ)

キーワード:訪問リハビリ, 多職種連携, ケアプラン

【はじめに,目的】

平成27年度に介護保険制度の改正があり,訪問リハビリにおいて,リハビリテーション専門職によるマネジメントが求められるようになった。そして,CMや他職種との連携がより一層重要視された。そこで今回,CMが訪問リハビリにどのような認識をもっているのか,現状の連携ではどのように感じているのかを知ることで,多職種連携を取る上での訪問リハビリの課題を検討し,効果の高い連携を実現することを目的にアンケート調査を実施した。

【方法】

対象は兵庫県神戸市にある居宅介護施設(以下:居宅)で,当事業所に訪問依頼のある居宅58件,訪問依頼のない居宅30件にアンケート調査を依頼した。調査方法は無記名の多肢選択式および自由記述式とした。質問の分野として,①訪問リハビリへのイメージ②訪問リハビリからの情報③訪問リハビリの目標達成④連携についての4分野に分けて行った。

【結果】

依頼をした居宅88件の内,回収できたのは居宅29件(当事業所に訪問依頼のある居宅21件,訪問依頼の無い居宅8件)であった。回答CM数49名,無効回答0名であった。実務経験年数は平均5.6年±4.3年,最高16年,最低0年であった。実績割合では,訪問リハビリを依頼している割合は87%であった。訪問リハビリが行うサービスのイメージは,「ADL練習」40%,「手足の機能練習」35%であった。訪問リハビリからの情報で多い項目は,「日常生活の変化や経過」39%,「動作能力の変化」27%であった。CMが求める情報は,「自立のために必要な支援方法」30%,「今後の見通しや方向性」23%であった。ケアプラン上で,訪問リハビリの意見を取り入れたい項目は,「現状の課題」36%,「ケアプラン上の目標設定」33%であった。訪問リハビリの終了についてはどのように考えているかは,「目標を達成しても,維持する為に継続が望ましい」47%,「新たな目標を作って継続が望ましい」24%と目標達成後も継続が特に多かった。訪問リハビリを終了する上でその後の望ましい支援計画は,「通所系サービス」72%と特に多かった。訪問リハビリとの連携については,「もっと連携は必要」が67%と特に多かった。

【結論】

生活期リハビリの内,訪問リハビリでは,「活動」「参加」に繋がることが求められているものの,現状は十分に効果を見出せていない傾向がある。CMからのイメージでも,「ADL練習」や「手足の機能練習」をしている印象が多く,生活期リハビリに必要な「自立支援の方法」や「今後の見通し」の情報交換が出来ていない傾向にある。今後の訪問リハビリでは,より一層地域包括ケアの概念を軸にサービスを提供する必要がある。そして,「心身機能」だけにとらわれず,「活動」「参加」に対して具体的に働きかけ,「自立支援に向けた取り組み」や「今後の見通し」を他の職種に提示して情報共有していく必要があると思われる