第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本理学療法教育学会 一般演題ポスター
教育P03

Fri. May 27, 2016 4:30 PM - 5:30 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-ED-03-4] 当院回復期病棟における重症度調査

~効果的な新人教育に向けての予備調査~

福原隆志, 近藤友加里, 江橋浩平, 豊島和之, 菊地俊充, 田安義昌, 山内康子, 小貫渉 (中通リハビリテーション病院リハビリテーション部)

Keywords:新人教育, 回復期, 重症度

【はじめに,目的】



日本における理学療法士数は急激に増加しており,特に免許取得後の臨床教育について重要視されてきている。その際,新人理学療法士を勤務先の特性に合わせて指導することが効率的かつ重要と考えられる。我々の所属する回復期病棟は,入院する患者層について高齢化・重症度化していることが報告されており,複数疾患を合併した患者を担当する機会も増えており,理学療法士はこれまで以上に幅広い知識・技術の習得を行う必要がある。本研究の目的は,当院回復期病棟入院患者を対象に疾患の重複率を調査し,効果的な新人教育を行う上で必要な項目を検討することである。

【方法】

過去2年間(平成24年4月~平成26年3月)に当院回復期病棟に入院した男性243名,女性242名,計485名を対象とした(平均73歳,中央値77歳)。回復期対象疾患について後方可視的に診療録より情報収集を行った。得られた疾患名より理学療法対象疾患を抽出し,日本理学療法士協会が提示している「認定・専門理学療法士制度」の定義を参考に,神経理学療法(以下,神経系),運動器理学療法(以下,運動器系),並びに内部障害理学療法(以下,内部障害系)の3分野に分類,疾患が重複した割合を算出した。

【結果】



理学療法対象疾患は1765疾患であり,内訳は神経系689疾患,運動器系303疾患,内部障害系が773疾患であった。重複疾患数の中央値は3(最少1,最大10,最頻値3)であり,重複疾患を有するものは424名(87%),単独疾患のものは61名(13%)であった。重複の割合は多い順に,神経系と内部障害系の重複210名(49%),神経系と運動器系と内部障害系の重複101名(24%),運動器系と内部障害系の重複49名(12%),神経系のみの重複26名(6%),その他(9%)であった。

【結論】



回復期病棟の入院患者の多くが疾患を重複しており,特に内部障害を合併している率が高いことが明らかとなった。また,理学療法の専門領域をまたいで罹患している患者が多いことから,複数の疾患による所見を整理・統合して対応する能力を高めることが特に必要と考えられた。当院における新人育成においては,単独の領域の学習・指導のみではなく幅広い分野の知識及び技術を身につけることに加え,頻回な症例検討の実施並びに積極的な見学等を促すことで,実際の治療場面において先輩理学療法士の考え方を積極的に新人に伝達する機会をもつことが有効と思われた。