第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) 一般演題ポスター
基礎P17

Sat. May 28, 2016 10:30 AM - 11:30 AM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-KS-17-2] 不快感情が脊髄神経機能の興奮性に与える影響

鬼形周惠子, 文野住文, 米田浩久, 鈴木俊明 (関西医療大学保健医療学部臨床理学療法学教室)

Keywords:感情, F波, 視覚

【はじめに,目的】

運動の発現は「情意・情動-発意-計画-実行」の段階を経て実行されるといわれており,運動と感情には密接な関係があることがわかる。同じ動作でも感情によって変化することを,臨床上しばしば経験することがある。感情により中枢神経系の賦活や自律神経活動が亢進するなどの報告があるが,感情が脊髄神経機能の興奮性に与える影響に関する報告はみられない。本研究では,不快感情が脊髄神経機能の興奮性に与える影響をF波により検討した。

【方法】

対象は健常者13名,平均年齢は22.2歳であった。被験者を背臥位とし,左正中神経刺激による左母指球筋からF波を導出した。F波分析項目は,F波出現頻度,振幅F/M比,立ち上がり潜時の3つとした。まず安静状態のF波を測定した(安静1試行)。次に,感情誘発画像システムであるフロリダ大学のThe International Affective Picture System(IAPS)による,Unpleasant(不快画像)の画像を用いて不快感情を誘発し,2分間画像を注視した状態でF波を測定した(不快1試行:不快刺激1分目,不快2試行:不快刺激2分目)。最後に,再度安静状態でF波を測定した(安静2試行)。不快画像により誘発した感情が脊髄神経機能に与える影響,さらに画像をなくした後も影響があるかどうかを検討するために,安静1試行,安静2試行,不快1試行,不快2試行の4群間でシェッフェ検定を用いて比較,検討した。

【結果】

不快1試行時の振幅F/M比が安静1試行よりも有意に増加した(p<0.05)。また,F波出現頻度と立ち上がり潜時に大きな差は認めなかった。

【結論】

本研究では,健常者に不快刺激を与えた直後は脊髄神経の興奮性は増加するが,不快刺激の持続により脊髄神経機能の興奮性は刺激前の状態に近づいた。これは,提示された不快刺激に順応した結果であると推察する。脊髄神経機能の興奮性と筋緊張の程度は,関連すると言われている。このことから,臨床において不快刺激が筋緊張の程度やパフォーマンスに影響を与えることが考えられる。今後,脳血管疾患患者に不快刺激を与えた脊髄神経機能の興奮性について検討していきたいと考えている。