[P-KS-31-5] 関節位置覚測定アプリケーション「The sense of position」の開発と検討
―肘関節の利き手と非利き手に着目して―
キーワード:関節位置覚, アプリケーション, スマートフォン
【はじめに,目的】
2014年3月の調査で日本でのスマートフォン(以下スマホ)世帯普及率が54.7%,タブレット端末が20%となった。それにともないアプリケーション(以下アプリ)開発が盛んになり,リハビリテーション(以下リハビリ)の分野でも研究・教育に利用されている。今回,新しく開発した関節位置覚測定アプリ「The sense of position」は,スマホなどのモバイル端末を使用して関節位置覚の測定が可能となる。測定関節部の動作肢遠位に端末を装着して,音声従い動作を行なうことで測定ができる。本研究では開発したアプリを使用して肘関節の関節位置覚を測定し,利き手・非利き手に着目して分析を行うことを目的とした。
【方法】
若年健常者10名(男性7名,女性3名:年齢21.0±1.3歳,身長173.2±5.1cm,体重62.6±6.5kg)を対象とした。利き手は全て右側であった。
今回,モバイル端末iPod touch(Apple Inc,Cupertino,CA)を使用し,新しく開発した関節位置覚測定アプリ「The sense of position」(Version 1.0.2)を用いて測定を実施した。被験者の測定肢位は背臥位で測定側前腕に端末上部を両側茎状突起レベルにあわせ装着した。測定方法はAutomatic modeを使用して自動測定され,被験者は端末からの音声に従い測定課題を実施した。測定課題は,肘関節の垂直位置を記憶して,記憶した角度を再現することとした。記憶角度と再現角度の差は自動的に算出され,その値を関節位置覚の指標とした。両上肢で3回測定し,平均値を分析に用いた。統計処理として対応のないt検定を用いて差の検定を行なった。
【結果】
今回の結果より肘関節において記憶角度からの差は利き手では最大で6.25°,最小で0.11°であった。また,非利き手では最大で11.48°,最小で0.62°であった。利き手と非利き手との分析により非利き手では増加傾向を示した(p=0.051)。
【結論】
今回,新しく開発したモバイル端末アプリを使用して関節位置覚測定を実施したが,特に問題なく測定することが可能であった。関節位置覚の測定では模倣法が多く使用されており,目視により左右の上肢の位置の差によって判定されている。新しく開発したアプリでは,自動で各関節の結果を数値化することが可能であるため有用であることが示唆された。結果から記憶角度からの差は,利き手では最大で約6°であったが,非利き手では最大で約11°あった。また,分析の結果から非利き手の方が利き手よりも増加傾向を示した。このことから健常人の肘関節の関節位置覚を測定する際に利き手と非利き手を考慮する必要があることが示唆された。
今回の研究によりスマホなどのモバイル端末のアプリで身体機能の測定が可能となることが示唆された。今まで機器の設定や使用が難しかった測定が臨床現場で手軽で簡単に測定が可能となることが考えられる。
2014年3月の調査で日本でのスマートフォン(以下スマホ)世帯普及率が54.7%,タブレット端末が20%となった。それにともないアプリケーション(以下アプリ)開発が盛んになり,リハビリテーション(以下リハビリ)の分野でも研究・教育に利用されている。今回,新しく開発した関節位置覚測定アプリ「The sense of position」は,スマホなどのモバイル端末を使用して関節位置覚の測定が可能となる。測定関節部の動作肢遠位に端末を装着して,音声従い動作を行なうことで測定ができる。本研究では開発したアプリを使用して肘関節の関節位置覚を測定し,利き手・非利き手に着目して分析を行うことを目的とした。
【方法】
若年健常者10名(男性7名,女性3名:年齢21.0±1.3歳,身長173.2±5.1cm,体重62.6±6.5kg)を対象とした。利き手は全て右側であった。
今回,モバイル端末iPod touch(Apple Inc,Cupertino,CA)を使用し,新しく開発した関節位置覚測定アプリ「The sense of position」(Version 1.0.2)を用いて測定を実施した。被験者の測定肢位は背臥位で測定側前腕に端末上部を両側茎状突起レベルにあわせ装着した。測定方法はAutomatic modeを使用して自動測定され,被験者は端末からの音声に従い測定課題を実施した。測定課題は,肘関節の垂直位置を記憶して,記憶した角度を再現することとした。記憶角度と再現角度の差は自動的に算出され,その値を関節位置覚の指標とした。両上肢で3回測定し,平均値を分析に用いた。統計処理として対応のないt検定を用いて差の検定を行なった。
【結果】
今回の結果より肘関節において記憶角度からの差は利き手では最大で6.25°,最小で0.11°であった。また,非利き手では最大で11.48°,最小で0.62°であった。利き手と非利き手との分析により非利き手では増加傾向を示した(p=0.051)。
【結論】
今回,新しく開発したモバイル端末アプリを使用して関節位置覚測定を実施したが,特に問題なく測定することが可能であった。関節位置覚の測定では模倣法が多く使用されており,目視により左右の上肢の位置の差によって判定されている。新しく開発したアプリでは,自動で各関節の結果を数値化することが可能であるため有用であることが示唆された。結果から記憶角度からの差は,利き手では最大で約6°であったが,非利き手では最大で約11°あった。また,分析の結果から非利き手の方が利き手よりも増加傾向を示した。このことから健常人の肘関節の関節位置覚を測定する際に利き手と非利き手を考慮する必要があることが示唆された。
今回の研究によりスマホなどのモバイル端末のアプリで身体機能の測定が可能となることが示唆された。今まで機器の設定や使用が難しかった測定が臨床現場で手軽で簡単に測定が可能となることが考えられる。