[P-MT-27-3] 人工股関節全置換術前後の患者立脚式評価WOMACとTimed Up and Go testの関係
―カテゴリー別による検討―
キーワード:人工股関節全置換術, WOMAC, TUG
【はじめに,目的】
従来,関節機能評価は検者立脚式で客観的に評価することがほとんどであった。これは患者側の機能障害の実態が反映されていないと問題視されている。一方,患者自身が自己評価する健康関連QOLが広まってきた。その中でも,Western Ontario McMaster Osteoarthritis Index(以下,WOMAC)は患者立脚式評価であり股関節症患者に対して有効なものと推奨されている。
今まで人工股関節全置換術(以下,THA)患者の客観的評価と患者立脚評価の関連性をカテゴリー別に検証した報告は乏しい。そこで今回我々は,THA前後のWOMACとTimed Up and Go test(以下,TUG)の関係性をカテゴリー別に検討したので報告する。
【方法】
対象は,当院にて2011年1月から2014年12月までに初回片側THAを施行された患者109名(男性11名,女性98名)とした。全例において術者は同一者で,術式は後側方侵入であった。日本整形外科学会股関節機能判定基準に準じ,カテゴリーA(A群),カテゴリーB(B群),カテゴリーC(C群)に分けた。内訳はA群13名(70.9±9.8歳,男性2名,女性11名),B群70名(63.6±9.5歳,男性7名,女性63名),C群26名(62.7±9.8歳,男性2名,女性24名)であった。
評価時期は,手術前日(以下,術前)と退院後1ヶ月の再診時(以下,術後)とした。
評価項目は,WOMAC(ADL項目,疼痛項目)とTUGとした。
評価方法は,WOMACの得点をADL項目の点数(以下,ADLスコア)と疼痛項目の点数(疼痛スコア)として点数化(点)した。TUGは3回測定し,平均値を測定値(秒)とした。
統計方法は,各群内術前後のTUGとADLスコア,TUGと疼痛スコアの関係をそれぞれPearson積率相関係数で求めた。
統計処理にはIBM SPSS Version 22を使用し,有意水準は5%とした。
【結果】
A群,B群,C群の順に,TUG(秒)は術前16.7±6.4,15.1±7.2,19.6±9.4,術後14.2±6.4,12.4±4.5,13.2±3.8であった。
ADLスコア(点)は術前43.8±17.5,42.5±17.9,44.4±18.9,術後73.8±23.0,79.0±11.3,73.5±18.3であった。
疼痛スコア(点)は術前50.4±23.7,42.9±22.6,46.5±22.6,術後83.5±16.5,85.8±13.2,85.0±14.7であった。
相関係数(r)は,TUG-ADLスコアでは術前0.11,-0.23,-0.49(p<0.05)とC群のみに相関が認められた。術後は-0.70(p<0.01),-0.25(p<0.05),-0.60(p<0.01)と全群に相関が認められた。TUG-疼痛スコアでは術前0.28,-0.14,-0.49(p<0.05),術後-0.33,-0.15,-0.51(p<0.01)と術前後ともC群のみに相関が認められた。
【結論】
本研究では,THA前後のWOMACとTUGの関係性をカテゴリー別に検討した。術前ではA,B群には相関は認めなかった。C群においては,TUGとADLスコア,疼痛スコアに相関を認めた。術後においてはカテゴリーに関係なく,TUGの改善はADLスコアの向上に反映していた。更に,C群では疼痛スコアとも相関していた。
従来,関節機能評価は検者立脚式で客観的に評価することがほとんどであった。これは患者側の機能障害の実態が反映されていないと問題視されている。一方,患者自身が自己評価する健康関連QOLが広まってきた。その中でも,Western Ontario McMaster Osteoarthritis Index(以下,WOMAC)は患者立脚式評価であり股関節症患者に対して有効なものと推奨されている。
今まで人工股関節全置換術(以下,THA)患者の客観的評価と患者立脚評価の関連性をカテゴリー別に検証した報告は乏しい。そこで今回我々は,THA前後のWOMACとTimed Up and Go test(以下,TUG)の関係性をカテゴリー別に検討したので報告する。
【方法】
対象は,当院にて2011年1月から2014年12月までに初回片側THAを施行された患者109名(男性11名,女性98名)とした。全例において術者は同一者で,術式は後側方侵入であった。日本整形外科学会股関節機能判定基準に準じ,カテゴリーA(A群),カテゴリーB(B群),カテゴリーC(C群)に分けた。内訳はA群13名(70.9±9.8歳,男性2名,女性11名),B群70名(63.6±9.5歳,男性7名,女性63名),C群26名(62.7±9.8歳,男性2名,女性24名)であった。
評価時期は,手術前日(以下,術前)と退院後1ヶ月の再診時(以下,術後)とした。
評価項目は,WOMAC(ADL項目,疼痛項目)とTUGとした。
評価方法は,WOMACの得点をADL項目の点数(以下,ADLスコア)と疼痛項目の点数(疼痛スコア)として点数化(点)した。TUGは3回測定し,平均値を測定値(秒)とした。
統計方法は,各群内術前後のTUGとADLスコア,TUGと疼痛スコアの関係をそれぞれPearson積率相関係数で求めた。
統計処理にはIBM SPSS Version 22を使用し,有意水準は5%とした。
【結果】
A群,B群,C群の順に,TUG(秒)は術前16.7±6.4,15.1±7.2,19.6±9.4,術後14.2±6.4,12.4±4.5,13.2±3.8であった。
ADLスコア(点)は術前43.8±17.5,42.5±17.9,44.4±18.9,術後73.8±23.0,79.0±11.3,73.5±18.3であった。
疼痛スコア(点)は術前50.4±23.7,42.9±22.6,46.5±22.6,術後83.5±16.5,85.8±13.2,85.0±14.7であった。
相関係数(r)は,TUG-ADLスコアでは術前0.11,-0.23,-0.49(p<0.05)とC群のみに相関が認められた。術後は-0.70(p<0.01),-0.25(p<0.05),-0.60(p<0.01)と全群に相関が認められた。TUG-疼痛スコアでは術前0.28,-0.14,-0.49(p<0.05),術後-0.33,-0.15,-0.51(p<0.01)と術前後ともC群のみに相関が認められた。
【結論】
本研究では,THA前後のWOMACとTUGの関係性をカテゴリー別に検討した。術前ではA,B群には相関は認めなかった。C群においては,TUGとADLスコア,疼痛スコアに相関を認めた。術後においてはカテゴリーに関係なく,TUGの改善はADLスコアの向上に反映していた。更に,C群では疼痛スコアとも相関していた。