[P-SK-06-1] 姫路市における歩道環境の客観的類型化の試み(第二報)
キーワード:車椅子介助, 環境調査, クラスター分析
【はじめに,目的】現在,姫路市内の歩道にはどのような環境があるのかを把握する目的で車椅子を用いた環境調査を行い,多変量解析のクラスター分析を用いて歩道の客観的類型化を試みた結果(第一報)を第49回の本大会において報告をした。今回,車椅子使用者の活動範囲を考慮し,対象範囲を拡大して,より詳細な類型化を行ったので報告をする。
【方法】本研究では,神姫バス株式会社のバス路線図をもとにバス停留所付近の歩道を調査した。調査地点は第一報で調査を行った19地点に加え,65地点を追加した。各バス停留所の標識柱から進行方向3m地点を起点とし,車椅子の前輪から後輪の長さ分の帯状のエリアを測定した。測定項目は,車椅子走行の可否,路面性状,障害物の有無,歩道の端から障害物までの幅,歩道傾斜,障害物の幅,障害物から縁石までの幅,縁石高さ,縁石幅,縁石傾斜,車道傾斜,ボルグスケール(以下BS)とした。歩道傾斜は車椅子上に土台を作製し,2個のデジタル傾斜計を横断方向と縦断方向に設置し測定した。縁石と車道の傾斜は小型のデジタル傾斜計を直接路面に接地させ測定した。BSは車椅子の座面に土台との合計が50kgとなるように重りを設置し,エリアを縦断するように検者2名(男性1名,女性1名,年齢27歳)が押した時の主観的疲労度を記録した。歩道環境の客観的な類型化を行うために,多変量解析のクラスター分析を行った。類似度はウォード法を用いてユークリッド法によりクラスター化を行った。
【結果】クラスター分析の結果より,IからVIIIのタイプ(以下C-I~C-VIII)に類型化できた。C-I(56地点)は歩道端から障害物までの幅が他の項目に比べ最も広く,障害物がない地点が多かった。C-II(4地点)は,歩道の端から障害物までの幅が障害物から縁石までの幅に比べ広かった。C-III(10地点)は車道寄りに幅の広い障害物があり,縁石に街路樹が隣接している地点が多かった。C-IV(2地点)は歩道の中央部と車道寄りに幅の広い障害物があり,縁石に街路樹が隣接していた。C-V(2地点)は歩道側と縁石側に幅の狭い障害物あった。C-VI(1地点)は幅の広い障害物があり,障害物の両側ともに車椅子走行可能であった。C-VII(1地点)は歩道幅が狭く車椅子走行不可であった。C-VIII(8地点)は歩道側に幅の狭い障害物があり,歩道の端から障害物までの幅が狭かった。BSや路面傾斜での類型化はみられなかった。
【結論】クラスター分析による客観的な類型化は,障害物の有無とその位置によりタイプ分けされる傾向がみられた。対象が増加したことで,歩道幅と障害物幅による類型化がみられ,より明確な分類につながったと考える。歩道幅と障害物幅での類型化により,歩行者や車椅子のすれ違いやすさの指標の一つになると考えられる。BSや路面傾斜による類型化がみられなかったことより,調査地点はバリアフリー化が進んでいると考えられる。
【方法】本研究では,神姫バス株式会社のバス路線図をもとにバス停留所付近の歩道を調査した。調査地点は第一報で調査を行った19地点に加え,65地点を追加した。各バス停留所の標識柱から進行方向3m地点を起点とし,車椅子の前輪から後輪の長さ分の帯状のエリアを測定した。測定項目は,車椅子走行の可否,路面性状,障害物の有無,歩道の端から障害物までの幅,歩道傾斜,障害物の幅,障害物から縁石までの幅,縁石高さ,縁石幅,縁石傾斜,車道傾斜,ボルグスケール(以下BS)とした。歩道傾斜は車椅子上に土台を作製し,2個のデジタル傾斜計を横断方向と縦断方向に設置し測定した。縁石と車道の傾斜は小型のデジタル傾斜計を直接路面に接地させ測定した。BSは車椅子の座面に土台との合計が50kgとなるように重りを設置し,エリアを縦断するように検者2名(男性1名,女性1名,年齢27歳)が押した時の主観的疲労度を記録した。歩道環境の客観的な類型化を行うために,多変量解析のクラスター分析を行った。類似度はウォード法を用いてユークリッド法によりクラスター化を行った。
【結果】クラスター分析の結果より,IからVIIIのタイプ(以下C-I~C-VIII)に類型化できた。C-I(56地点)は歩道端から障害物までの幅が他の項目に比べ最も広く,障害物がない地点が多かった。C-II(4地点)は,歩道の端から障害物までの幅が障害物から縁石までの幅に比べ広かった。C-III(10地点)は車道寄りに幅の広い障害物があり,縁石に街路樹が隣接している地点が多かった。C-IV(2地点)は歩道の中央部と車道寄りに幅の広い障害物があり,縁石に街路樹が隣接していた。C-V(2地点)は歩道側と縁石側に幅の狭い障害物あった。C-VI(1地点)は幅の広い障害物があり,障害物の両側ともに車椅子走行可能であった。C-VII(1地点)は歩道幅が狭く車椅子走行不可であった。C-VIII(8地点)は歩道側に幅の狭い障害物があり,歩道の端から障害物までの幅が狭かった。BSや路面傾斜での類型化はみられなかった。
【結論】クラスター分析による客観的な類型化は,障害物の有無とその位置によりタイプ分けされる傾向がみられた。対象が増加したことで,歩道幅と障害物幅による類型化がみられ,より明確な分類につながったと考える。歩道幅と障害物幅での類型化により,歩行者や車椅子のすれ違いやすさの指標の一つになると考えられる。BSや路面傾斜による類型化がみられなかったことより,調査地点はバリアフリー化が進んでいると考えられる。